「数十年も引きずる」トラウマ級に怖い“少女ホラー漫画”を編集者が紹介! 「悪魔(デイモス)の花嫁」や「海の闇、月の影」…95人惨殺も!
■一時代を築いた作品を読んでほしい
――光元さんが実際に読者だった70・80年代に少女ホラー漫画は人気があったんですか?
光元 本当にすごく人気がありました。例えば、「悪魔(デイモス)の花嫁」(原作:池田悦子、作画:あしべゆうほ)は、『月刊プリンセス』(秋田書店)に75年から掲載されていて、雑誌の一時代を築いた作品の一つだと思います。コミックスは累計1000万部突破ともいわれ、平成になっても続編が出る名作となっています。
兄妹で愛し合った罰として天界の最高神ゼウスの怒りに触れ、悪魔に貶められたデイモスと、黄泉の国で逆さ吊りにされ、体が朽ち果ててしまうのを待つばかりの妹ビーナス。愛する妹を救うために人間界のヴィーナスの生まれ変わり美奈子を殺し、腐りゆくビーナスに美菜子の身体を与えるために、美奈子の前に現れたデイモス。でもいつの間にか美奈子に惹かれていくという、物語です。デイモスは悪魔らしく人間の弱さにつけ込んで色々な悲劇を巻き起こすんですが、その非情さと哀しみを背負ったキャラがカッコよくて大人気になったんですね。直球のホラーとは少し異なりますが、とにかく人間の業が怖くて、深い物語です。
――ほかにもオススメ作品はありますか?
光元 「闇のパープル・アイ」で知られる篠原千絵先生の「海の闇、月の影」はホラー要素が強いですね。
一卵性の双子の流水・流風が主人公なんですが、二人は洞窟でウイルスに感染してしまいます。このウイルスはまず流水を変化させます。物質を通り抜けたり、浮いたりと身体的パワーを増強する性質を持っていて、怒りや嫉みといった負の感情をエスカレートさせるウイルスでした。そして、双子は同じ陸上部の先輩の当麻克行が好きなのですが、当麻が選んだのは、流風。全く同じ容姿なのに選ばれなかった流水は、その怒りを爆発させて流風を殺すことに全てをかけるんです。巻き込まれた周囲の人が次々と死んでいきます。途中で、殺処分された人たちがいてその人数が不明なのですが、描かれた限りで数えたところ、全巻で95人が殺戮されていました。この謎のウイルスを狙う人物なども現れて物語が発展するにしても、すべては恋ゆえ、怖ろしいですね~。とにかく、あらゆる惨殺表現が恐怖だったトラウマ作品です。
――なるほど、俄然読みたくなってきました。編集推薦の少女ホラー作品ならばハズレはないでしょうね!
絵柄を見て、懐かしく思い出す読者もいるだろう。筆者は少女ホラー漫画というジャンルに詳しいわけではないが、取材中机の上に置かれていたコレクションを見ると、猛烈に読んでみたくなった。後編では、光元氏が特に思い入れが強いという作品を『私たちが震えた少女ホラー漫画』(辰巳出版)の誌面とともにお届け、さらに少女ホラーの怖さの秘密にも迫る。本書を参考に、少女ホラー漫画の数々に触れ、その恐怖に身悶えてほしい。
~つづく~
※ 後編(18日16時に配信予定)では、眼球ブッ刺し、思春期女子の闇、血飲み、惨殺… さらに恐ろしい少女ホラー漫画の深部を暴く!
【刊行情報】『私たちが震えた少女ホラー漫画』オフィスJ.B編(辰巳出版)
「少女たちを恐怖のどん底に叩き落とした、あの恐怖が蘇る…」。ホラー漫画に夢中になった女性たちに向けて、70年代〜00年代までの少女ホラー名作をイラストやコラム、インタビューで振り返る。犬木加奈子「三途の川」/葉月シモン「一枚の絵」/石上愛実「シャボン玉幸子さん」の漫画も完全収録。
光元志佳(みつもと・ゆきか)
『私たちが震えた少女ホラー漫画』(辰巳出版)の編集長であり、ホビー、写真集、カルチャーなどを扱う編集プロダクション・オフィスJ.B取締役。
オフィスJ.B
https://office-jb.net/
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2024.10.02 20:00心霊「数十年も引きずる」トラウマ級に怖い“少女ホラー漫画”を編集者が紹介! 「悪魔(デイモス)の花嫁」や「海の闇、月の影」…95人惨殺も!のページです。ホラー、殺人、トラウマ、宮崎勤、松本祐貴、酒鬼薔薇聖斗、少女漫画などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで