膣オーガズム、レズビアン、インターセクショナリズム…「最良のフェミニズム理論」を東大教授が徹底解説!
●インターセクショナリズム
この立場は、女性原理だけでなく「女性」というカテゴリそのものに見切りをつけます。「男女」から視点をずらして、雑多な区別・差別構造と一緒に考えるのです。
男女の身体的差異はなくせないので、身体由来の差別は永久に解消できない。ならば、線を引きなおしてしまえ。幸い、世にはびこる差別は性別関連だけではなかった。人種、民族、階級、職業……無数の格差の中に、男女の格差が絡み合っている。この複雑な現実に即して、性を細分化しよう。特権的なセレブ女は男に近いということにしよう。黒人女性は二重の差別を受けてきたから、同性愛女性に近いところに置こう。各々の境遇に従って区画を描きなおそう。おおこうすれば、単純な男女差別など無かったことがわかる。これはいい! 女性差別などという辛い課題にナイーブに悩まなくて済む!
「複雑な現実に即して」と言えば聞こえがいいですが、こうした「多元化」は現実逃避であり、敗北主義であり、試合放棄です。性差別を見えなくしようというだけです。
この敗北主義的戦略の代表が、トランスフェミニズムでしょう。♀身体だけで戦陣を敷くのをやめて、トランスの♂身体者にも『女性』の名のもとに共闘してもらおう。自閉症や鬱病や統合失調症や強迫性障害で自己認知の混乱している人材はたくさんいる。性自認をキーワードに多種類の差別を混ぜ合わせ、性別の境界線を引きなおそう。そうすれば……、
確かに「女性」の目覚ましい躍進がありました。ただいかんせん、スポーツの新記録も女性CEОランカーも、その多くがトランス女性[2]。女性の躍進は見かけにすぎず、♀身体ゆえ不利を被ってきた人々の立場は隠蔽され引き裂かれ、改善困難にされてしまいました。
社会と法律の基礎である男性身体と女性身体の区別を、男性希望者と女性希望者の区別で置き換えたからといって――男性カテゴリへ移住した♀が、月経や妊娠ゆえに被る不利は消滅しない。女性カテゴリへ移住した♂が、ペニスゆえの潜在的加害嫌疑を免れるわけでもない。そうなると、月経かペニスかという身体事情で区別する用語が改めて必要とされます。それは結局、2020年日本の法律や生理学における「男性」「女性」と同義の単語になるはずです。
[2] https://www.inc.com/graham-winfrey/the-highest-paid-female-executive-in-the-us-is-a-transgender-ceo.html
https://www.dailymail.co.uk/news/article-6195853/Credit-Suisse-boss-dresses-woman-slammed-appearing-100-women-list.html
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2024.10.02 20:00心霊膣オーガズム、レズビアン、インターセクショナリズム…「最良のフェミニズム理論」を東大教授が徹底解説!のページです。フェミニズム、レズビアン、フェミニストなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで