健康的で清潔と信じられる食事しか摂れなくなる「オルトレキシア」病が増加! 健康志向に取り憑かれる病の実態!

 健康的な食生活を送る上で重要なのは、当然ながら何を食べるのか、ということである。体に良いフードアイテムを選ぶためにベジタリアンやビーガンの道を選ぶのも自由だが、度が過ぎて逆に健康を害することになれば、その行為自体れっきとした“病”になる。その名は“オルトレキシア”だ――。

■食べ物を厳選する“オルトレキシア”とは

 特に若い女性の摂食障害が先進各国で問題になっているが、皮肉なことに健康志向を極めたいがために引き起こされる摂食障害がある。それがオルトレキシア(orthorexia)だ。なぜ健康を追い求めて摂食障害になってしまうのか。カナダ・トロントのヨーク大学の臨床心理士ジェニファー・ミルズ氏が解説している。

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「Live Science」の記事より

 オルトレキシアは今のところ疾患としては分類されていない。精神疾患の一種であるという見方もあれば、食に対する異常なまでの偏見であるという見解もあるようだが、ミルズ氏によればオルトレキシアへの関心は、近年研究者の間で高まっているという。

 摂食障害への理解と予防、治療を目指すアメリカのNPO「National Eating Disorders Association(NEDA)」によれば、オルトレキシアの人は、食品表示を厳しくチェックする習慣があり、ある種の食品グループを完全に排除している傾向が顕著だという。それはたとえば、炭水化物全般、乳製品全般、砂糖全般である。

 その結果、人体に必要な主要栄養素(macronutrient)と微量栄養素(micronutrient)が欠乏するリスクがあり、また社会生活の営みに支障を来す可能性もはらんでいる。

 オルトレキシアの人は食事を伴う人との交流が難しくなるために社会的不安や孤立に苦しんでいるケースがよくあるという。つまり普通の人づき合いができなくなってしまうのだ。

「極端な形ではオルトレキシアは、当人が快適に食べられると感じるほんの一握りの食物しか食べないことにつながる可能性があります」(ジェニファー・ミルズ氏)

 極端な場合は栄養失調につながり拒食症と同じく、貧血、骨粗しょう症、ホルモンバランスの乱れ、および心拍数の低下など、命にかかわる症状にまで発展することがあるという。

 健康のために食べるものを厳選する行為は決して異常なことではないが、いつでも自分の姿を世間にさらすことができるSNS全盛の時代だからこそ、別の意味でもオルトレキシアが広まる下地が出来上がっているということだ。

「Eating and Weight Disorders」に掲載された2017年の調査では、Instagramの「健康的な食事」コミュニティでオルトレキシア症状の有病率が高いことが判明している。個人がアプリを使用する頻度が高いほど(投稿数で判断)、オルトレキシアである確率が高くなっているのだ。

 またうつや不安障害など、すでに精神疾患を患っている人がその後にオルトレキシアになるケースも多いという。

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