「大阪都構想否決」が残念すぎる理由とは? 東大教授がコッソリ教える〈“都”の自意識が灯る場所〉

ハイパースカトロジスト(超糞便学者)としても知られる稀代の哲学者・三浦俊彦(東京大学教授)が、世の中の“ウンコな正論”を哲学的直観で分析する【超スカトロジスト時評】――

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「渋谷スクランブルスクエア」からの眺め(写真提供・三浦俊彦)

 大阪都構想が僅差の反対多数で決着しましたね。大阪市の存続です。24の行政区が4つの特別区へ再編されることは当面なくなりました。このことで、東京都の特別区23区への世間の意識も高まった気配です。

 全国で東京だけにある「特別区」というのは、文字通り特別な自治体らしく、市町村に比べて都からの独立性が高い側面と低い側面があるわけですが、コロナ禍では、独立性の方が目立ちました。市町村と違って区それぞれが保健所を持っているため、ウイルス対策で独自色を打ち出すことができ、区名とともにしばしば報道されたのです。

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「サンシャイン60 59階」からの眺め(写真提供・三浦俊彦)

 そんなこんなで23区ごとのクラスター対策やら給付金やらの差異が気になっていた私ですが、繁華街から明かりが消えがちだったことも重なって、コロナ禍以前からの地域振興策を、特別区ごとに知りたくなりました。区の自意識というか、東京の中でのポジションの意識はどういうものだろう。

 区営の無料展望台というものの存在に気づいてしまってはなおさらです。それぞれの区の視点から、東京全体の景観はどんな感じだろう。

 都内の無料展望台といえば、それはもう都庁の45階展望室がやはり抜群ですが、「南展望室」と「北展望室」に分かれていて、ワンフロアで東西南北いっぺんに見渡せないのがネックです。360°楽しめる公営無料展望台は、別のところに点在しているのでした。

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「練馬区役所本庁舎20階展望ロビー」からの眺め(写真提供・三浦俊彦)

 まずは、練馬区役所本庁舎20階展望ロビーに行ってみてください。地上80メートル。都庁の202メートルに比べて「……」と思うかもしれませんが、地上の息遣いが程よく伝わって、人間感覚的に最も迫真的な眺望。23区内の西端なので、華やかな眺望は東にまとまっており、他の方角との対照が面白い。東正面には池袋の高層ビル群。すぐ右に見えるスカイツリーは、サンシャイン60より上に突き出し、池袋の街並みに融合しています。

 ずっと右には新宿の超高層ビル群。さらに右に渋谷。三大副都心が奥の「都心」を背にして浮かび上がっています。しかしいちばん存在感を主張している街は、南東近距離に見える中野だったりします。ぬりかべのような幅広のビル(中野セントラルパークサウス)が目立っている中野四季の都市(まち)という再開発地域は、「なかの新都心」とも呼ばれるそうで。展望台というのはつくづく、穴場に気づかせる機能を持ちますね。目立つのは隣の区の穴場だったりするのですが。