「大阪都構想否決」が残念すぎる理由とは? 東大教授がコッソリ教える〈“都”の自意識が灯る場所〉
さて、同じく80メートルの全方位展望台が、北区文化振興財団のビル「北とぴあ」17階にあります。「きたとぴあ」でなく「ほくとぴあ」と読ませるあたり、無駄な力が入っている感じがしないでもないが、下町特有のなごみ風景が眼下に広がっています[1]。
南ロビーの眼下に見える飛鳥山公園は、無料ミニモノレール「アスカルゴ」が公園山頂と王子駅前をゆっくり昇降する景気がなごみ度Max。すぐわきにJR各線と新幹線、その下をチンチン電車(都電荒川線)が走る様子も、江戸の周縁的情緒たっぷりです(北区王子は200年前にはちょうど江戸の内外を分けていた境界線上にあたります)。
練馬視点とは対照的に、都心が南側にまとまっているのですが、副都心の見え方がなかなか傑作。新宿の超高層ビル群がすっぽり隠れて見えないのですよ、池袋のビル群に遮られて。「うちの勢力圏だろ。新宿なんかに見とれてるなよ」と池袋が通せんぼしている格好です。北区としては豊島区の子分なんて心外で、池袋へ遊びに行く埼玉県民を、赤羽か王子で引き止めてやりたいのが本音でしょうが。
北とぴあから新宿を遮断したその池袋ビル群の中の高さナンバー3(189メートル)が、区役所とタワーマンションの一体化した「としまエコミューゼタウン」です。4階・6階・8階の「グリーンテラス」と10階の「豊島の森」は、新宿超高層ビル群に向き合う南方面専用の展望空間です。豊島区の本庁舎自らが南方喧騒波の北上をせき止めつつ、副都心どうしの意思疎通と都庁の懐柔に努めているかのよう。武蔵野台地の東端に位置する豊島区の自己認識を広報するためか、低層部が台形に作られており、「テラス部10階~4階が台地と神田川の高低差に相当する」といった説明も随所で目にします。
[1] 東京新聞の地域版は、山手版=目黒・世田谷・中野・杉並・豊島・板橋・練馬、都心版=千代田・中央・港・新宿・江東・品川・大田・渋谷、したまち版=文京・台東・墨田・北・荒川・足立・葛飾・江戸川 となっている。皇居からの方角に基づく慣用的分類(山手、下町、城北、城西、城南、城東)の区分けよりも現在のイメージに合致している。
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2024.10.02 20:00心霊「大阪都構想否決」が残念すぎる理由とは? 東大教授がコッソリ教える〈“都”の自意識が灯る場所〉のページです。超スカトロジスト時評、展望台、特別区、大阪都構想などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで