ライバルを“毒殺”して卵子を目指す「キラー精子」が発見される! 実は多種多様だった精子の性質、不妊治療に応用へ!

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イメージ画像:「Getty Images」

 その分野で秀でた者を見いだすのに一番簡単な方法は、競わせてみることだ。そして、こうした“競争”は1人の男性の内部でも行われているというから興味深い。男性が放つ無数の精子の中には、卵子に一番乗りをするレースの過程でライバルを“毒殺”してレースを有利に進めるというエゴイスティックな策士がいるというのである。

■遺伝子変異を持つ“キラー精子”とは?

 政治的、社会的に公正中立とされる表現や制度が尊ばれる 「ポリティカル・コレクトネス」の時代を迎えているが、それでも社会から“競争”はなくならない。競争に勝ち残った優れた者の秀でた能力が社会で常に求められているからだ。

 そしてこの現象は人体の内部にも当てはまる。たとえば健康な男性の精子は1度の射精で1〜3億もの数が放出されるといわれ、それらの精子たちは「よーい、ドン!」とばかりに卵子へ一番乗りをすべく競争を繰り広げるのである。

 このレースに“出場”する精子は皆、同じような能力なのか? 実は最新の研究で精子にはさまざまな変異型があり、中にはライバルの精子を“毒殺”してレースから蹴落とすという腹黒い策士がいるというのである。

 ドイツ・ベルリンにあるマックスプランク分子遺伝学研究所の科学者たちは、げっ歯類の精子のサンプルを分析した。

 精子の中にはハプロタイプと呼ばれる遺伝子変異を持っているものがあり、より速く直線的に動くことを可能にしていることを発見した。同じマウスの変種のないノーマルな精子は生産性が低くなる傾向があり、しばしばゆっくりと円を描いて鈍い動きを見せていた。

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「Daily Star」の記事より

 変異体は「利己的」な遺伝子要素であると考えられており、研究者のベルンハルト・ヘルマン博士と彼のチームは、これらの精子がどのようにアドバンテージを得ているのかを検証した。

 するとハプロタイプ変異体のキャリアである精子細胞は、他の精子細胞を妨害することができる分子を生成していたのである。ほかの精子にとっていわば“毒物”として作用する分子を作ることができるのである。まさに“キラー精子”だ。

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