「結果が原因を引き起こす」量子力学で新解釈登場! この世の因果は“円環ループ”している可能性!
原因があって結果がある。宇宙の真理かのように思われる法則だが、量子力学が取り扱うミクロの世界では、この絶対的関係性がねじ曲がったループを形成するという。科学ニュース「Science Alert」(2月14日付)が報じた。
量子力学が登場するまでは、物理的な現象も日常的な因果関係と同じように扱うことができた。イギリスの哲学者デイヴィッド・ヒュームは単純な因果関係でさえ疑問視し、哲学的に現在まで未解決とされる重大な問いを提起したが、量子力学の出現により、因果論はさらに哲学的な深化を遂げることになる。
互いに離れた場所にある粒子がシンクロするかのように同期する「奇妙な遠隔作用」の存在が発見され、素朴な因果関係がどうやらミクロの世界では通用しないことが明らかになったからだ。この現象の根本的な説明はいまだにないが、この度、ベルギー・ブルクセル大学と英・オックスフォード大学の研究者らが、因果関係の標準解釈に挑戦する新たなモデルを発表したのである。
彼らの新しい理論モデルでは、原因と結果は双方向的なサイクルを形成し、結果が原因を引き起こす状況が考慮されているという。研究者らはユニタリ変換と呼ばれる数学上の操作を応用した。これは複雑な量子理論を理解するために必要な数学的問題を解決するために用いられる“ごまかし”だとされるが、これによりシュレディンガー方程式をコンピュータ上で計算することが可能となるという。
このユニタリ変換と関係する数学操作にハミルトニアンと呼ばれる関数がある。物理学者は、シュレディンガー方程式を解くために、このハミルトニアンを使用するのが普通である。ハミルトニアンは数学的な概念であるものの、時間依存的な側面がある。
だが、ユニタリ変換の作用の一部としてハミルトニアンから時間的な性質を取り除くことが可能であることを研究者らは利用した。それにより直線的な因果関係を前提としない、原因と結果の円環状のループが姿を現したという。
このモデルからすぐに日常的な因果関係が無効であるとか、ミクロレベルでは因果関係が崩壊しているとか、そういう極端な結論が導き出されるわけではない。ただ、ミクロレベルの現象を説明できるかもしれない1つのモデルが仮説されただけである。実際に日常的なレベルでは、このモデルは全く通用しないという。
しかし、まだ研究途上とはいえ、このモデルから量子力学と一般相対性理論を統一的に理解する新たな枠組みが生まれるかもしれないという期待はある。そして、そのことが完全に証明されれば、いくらミクロレベルの事象とはいえ、我々の世界観を大きく一新することになるだろう。たとえば、自由意志やその延長線上にある犯罪者への刑罰の正当性など、日常的・哲学的にも重大な影響が出てくると予想される。今後の研究にますます期待したい。
参考:「Science Alert」、ほか
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