【実録オカルト事件簿】男の首を引き抜きしゃぶった鳥取県「山童(やまわろ)の怪異」
【実録オカルト事件簿】男の首を引き抜きしゃぶった鳥取県「山童(やまわろ)の怪異」! 異形の民“低身長の人食い種族”か=鳥取県
――宗教・オカルトの専門家・神ノ國ヲが繙くオカルト事件簿!
――鳥取県の山童(やまわろ)というと、水木しげるロードのアレですか?
(神ノ國ヲ) 戯画化された堺港のブロンズ像ですよね。鳥取県のあたりは、古来より伯耆国(ほうきのくに)と呼ばれていました。柳田國男の親友にして元祖オカルトライター、岡田建文によれば「日本海に面した中腹は、蓊鬱として大樹が密生して居り、その間に、大神山神社や大山寺があり、古来天狗や妖魅や大蛇などの居るところとして畏怖された」土地です。
――そんな土地で何があったのでしょうか?
(神ノ國ヲ) 昔から林業や製鉄用の炭焼きが盛んな土地です。たとえば中国地方は「たたら製鉄」で有名です。石見と出雲(島根)、安芸(広島)、伯耆(鳥取)では11~16世紀頃の遺跡を確認できます。
明治中頃、伯耆の国大山のふもとの村に彌六という男がいました。伐採した木を谷間から運んで製鉄用の炭とするのが仕事で、毎日一人で山に通っていた。
ある日、仕事をしている彌六の前に、ボロ屑と葉で腰を隠しただけの眼光の鋭い12~13歳の子供が現れた。しかし、近づいてくると人か猿か判別できない異形の怪物だった。そして「仕事を手伝うから、毎日弁当の飯を半分わけてほしい」という。
一人で仕事をする彌六は、これはおもしろいと思って、何ができるか試してみると、似たような怪物がさらに現れて、谷間から崖上まで十数メートル毎に並び、あっという間に三十本の丸太を投げ渡して運んでしまった。
――丸太を投げて……!?
(神ノ國ヲ) 製炭用ですから長さ2m重さ35㎏くらいです。とにかく、これは仕事が楽になると驚く彌六に、怪物は仕事を手伝う条件を出す。「我らについては誰にも何も言うな、漏らさば、首を引き抜き、体を八つ裂き、骨をしゃぶる」と。彌六は天狗の眷属だろうと思うも助かるので、怪物と一緒に仕事をした。
彌六が伐採し、丸太が溜まると、いつのまにか現れた怪物が谷の上へと丸太を運ぶ。弁当を開くと、きっちり半分だけ米が消えている。仕事は助かるが腹が減るので、彌六は帰宅しては大飯を食らい、朝にはもっと米を詰めろという。妻は仕事の業績は好調ながらも、夫の不審さに、山小屋での不倫を疑い、ついに彌六を問い詰める。
彌六は疑心暗鬼の妻をなだめるため、つい事情を話して約束を破ってしまう。「それは山童です」と、妻は祖父から聞いた確認方法を試して祓おう、と言う。女が弁当から一口食べて、その後、メシを詰めると山童なら手をつけない、特定すれば逃げる方法もある、と。
翌日、そのように妻と弁当を仕掛けて、出かけた彌六は深夜になっても帰って来なかった。朝になり、村による山狩りが行われると、無残にも彌六は首から引き抜かれ、体は飛び散った肉片と骨となって食い殺されていた。そして、弁当はそのままだった。
山童は、よほど腹が立ったのか、丸太をすべて釘のように地面に打ち込んでおり、地面と丸太の切り口は平らであった。妻も村人も震え上がったという。
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