ダイナマイト自殺で爆発して死んだ母親を「売り物」に…“猫と母コンプレックス”を抱える末井昭が振り返る


【連載】猫コンプレックス 母コンプレックス――異色の精神科医・春日武彦と伝説の編集者・末井昭が往復書簡で語る「母と猫」についての話
<これまでのまとめはこちら>

<第9回 末井昭→春日武彦>

■■■■■結核のバリヤー■■■■■

春日武彦さま

 だいぶ暖かくなって来ました。エアコンの暖房を入れなくてもよくなり、電気掛け毛布を膝に掛けただけで原稿を書いています。時計を見ると夜の12時前で、そろそろ寝ようかと思っていると、外で猫が鳴き出しました。もの凄い大きな声でアオ〜〜ン、アオ〜〜ンと鳴いています。〈キー坊〉ではないかと思って窓を開けてみると、暗闇の中を白地に黒のホルスタイン柄の猫が逃げて行くところでした。4、5年前からちょこちょこ現れていたノラの〈ホル〉ちゃんのようです。最近は来なくなりましたが、近所を散歩しているとたまに見掛けることがあって、やつれた感じもないし毛並みもきれいだし、元気な様子で安心していました。

 ネットで調べてみたら、発情期に鳴くのはメスだけのようです。ということは、〈ホル〉ちゃんはメスだったのかと初めて知りました。体も大きいので、てっきりオスだとばかり思っていました。発情期の猫が大きい声で鳴くのは、自分の居場所をオス猫に知らせるためだそうです。オス猫は、メス猫の鳴き声やフェロモンによって発情が誘発されるそうです。

 ぼくの横で寝ている〈ねず美〉さんが、最初に発情した時のことを思い出しました。ペットショップで貰って来てから3カ月しか経ってなくて、どう見てもまだ子猫だったので、そんなに早く発情するとは思いませんでした。普段あまり鳴かないのに、フンニャ〜とかウンニャ〜とか甘えるような声で鳴き、お尻をもじもじさせるようになりました。うるさくて眠れないので、ちょっと可哀想だったのですが、夜は仕事部屋に閉じ込めていました。

 美子ちゃんが、尻尾の付け根あたりをポンポン叩くと泣き止むことを発見して、100円ショップで買った赤ちゃん用の小さなオムツを穿かせてみたら、鳴き声が小さくなりました。オムツをした〈ねず美〉ちゃんが、後ろ足をひょこひょこさせているのは可愛いのですが、こちらを見る目付きが色っぽいというか、潤んでいるようでした。

オムツを付けた〈ねず美〉ちゃん。目が潤んでいる(撮影:神藏美子)

 あれからもう18年経ちました。ぼくの仕事部屋の椅子の上に敷いた電気毛布で寝ている〈ねず美〉さんを見ながら、「お互い春になっても体がうずうずしなくなりましたね」と、無言で話し掛けています。

 春日さんが前回の最後にお書きになられていた、心中したぼくの母親に対して、見捨てられたという怒りがあったかどうかという問題ですけど、怒りや恨みは強い感情ですから、母親に対してそういう感情があったとしたら記憶に残っているはずです。しかし、そういう記憶が過去にも現在にもないのです。

 母親は弟を産んだあと結核になって、和気町にある平病院に入院しました。その時ぼくは3歳だったので、母親と暮らしたのは3年間ですが、それまで母親に抱かれた記憶が全くありません。ぼくはいつも祖母におぶわれていて、祖母の出ないオッパイに吸い付いていたようなので、母親はすでに肺結核に罹っていたのかもしれません。母親に抱かれたことがなかったのは、感染を避けるために、母親が接触することを避けていたからではないかと思うのです。

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