「決断する前に脳が活動開始している」と実験で判明! 我々は“無意識の奴隷”なのか… 意思決定やサブリミナルの真実

 どうしてこの色の靴を買ってしまったのか。なぜ昨日の昼食であの店に入ってしまったのか――。後から考えてもよくわからない選択をしてしまった時、我々は“無意識の奴隷”になっているのかもしれない。

■決断する前に脳が活動を開始していた

 法治国家に暮らす個人として、当然ながら我々には社会的に責任ある行動が求められている。

 しかしそうは言っても、日常生活の中のすべての動作や行動を完全に意識的に行っているわけではないし、逆にそんなことができるはずもないだろう。程度問題ということにもなりそうだが、では我々はどの程度、無意識に身を委ねている“無意識の奴隷”であるのだろうか。

 この問題を考えるにまず外せないのが、ベンジャミン・リベット(1916~2007)の実験だ。

 実験参加者は機器で脳波をモニターされた状態で、リラックスして椅子に座り、目の前にあるタイマーを見ながら制限時間内であればいつでもいいので、どこかのタイミングで人差し指を曲げることを求められた。その際、自分が指を曲げた時のタイマーの時間を覚えておくようにいわれたのだ。

 この実験でわかったのは、実験参加者は指を曲げると決断した瞬間よりも先に脳が活動を開始していることであった。意識的な決断をする前に、脳は先回りして指を動かす準備をしているのである。

 意識的な決断よりも先に無意識レベルでの意思決定が行われていることが示唆されてくる実験結果で、とすれば我々はかなりの程度で“無意識の奴隷”ということになる。

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「The Conversation」の記事より

■サブリミナル広告

 結局我々は無意識に支配されているのかという考えにアプローチするもう1つの方法は、無意識のレベルで人心を操作できるのかどうかを検証することだ。その代表的なものがいわゆる“サブリミナル広告”である。

 映像の中に「コーラを飲め」というメッセージが知覚できない瞬間で繰り返し挿入された映画を上映したところ、館内のコーラの売り上げが増えたというジェイムズ・ヴィカリーが行った有名な“サブリミナル実験”は、最終的に捏造された実験であったことが明らかになっている。

 とはいえ、広い意味での“マーケティング”ととらえた場合、消費者の潜在意識に訴求する広告手法というのは魅力的なアイデアであることは間違いない。

 さらに最近の研究では、多くの人々が“サブリミナル広告”が実際に使われていると信じていることも浮き彫りになっていて興味深い。

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「The Conversation」の記事より

■考えないほうが賢い買い物ができる?

 生活にも仕事にもルーティーンがあり、その範囲内では我々はある程度無意識の意思決定を行っている。つまり何も考えずに判断を下しているのだ。

 2006年の研究では、驚くべきことに、消費者として商品を購入する複雑な選択において、何も考えずにフィーリングで選んでしまったほうが賢い買い物ができることが示されている。

 研究チームは、これは我々の無意識のプロセスが意識のプロセスよりも制約が少ないためであると説明している。直感などの無意識のプロセスは、さまざまな複雑な情報を自動的かつ迅速に統合する方法で機能し、これは意識的に考えるよりも有利に働くというのである。

 しかし、この実験は再現性が低いともいわれており、選択の対象が商品以外であった場合にも適用される得るのかなど、今後さらに多くの研究が求められているという。また感情、気分、疲労、空腹、ストレス、信念など無意識に影響を及ぼす要素が数多くあるため、検証には相当の時間がかかりそうだ。

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