あのビル・ゲイツが見据える「ロボットが将来税金を払う」未来はディストピアか?
【ロボット税】あのビル・ゲイツが見据える「ロボットが将来税金を払う」未来はディストピアか? 所得格差が悪化する可能性も
作業のオートメーション化が着々と進む中、ロボットの存在感は増してくる一方だ。そこで人間の仕事を奪うロボットにも税金を課すべきであると世界一の慈善家、ビル・ゲイツ氏が発言している。
■ビル・ゲイツ氏「“ロボット税”を導入すべき」
ロボットとAIの進歩によっていくつもの雑事や雑用から“解放”されたのだが、裏を返せばそれは人間の仕事が奪われていることでもある。
企業にとっても人件費を抑制できることからオートメーション化は当然ながら推し進めることになるが、政府にとって労働者の減少はイコール、税収のカバー範囲の減少につながる。ロボットの導入で増収となった企業には相応の税金が課されることになるが、国からすれば労働者が減れば所得税はもちろん、年金や健康保険などの歳入は普通に考えれば減るだろう。
そこでビル・ゲイツ氏はかねてから「ロボット税」を導入すべきだと主張している。ロボットの導入で増収増益した企業に重税を課すというよりも、個々のロボットに所得税を課すべきであるというのだ。
2017年の「Quartz」のインタビューでゲイツ氏は将来ほとんどの仕事をロボットがするようになると予測し、この影響を念頭に置いて「ロボット税」を導入すべきだと主張した。この税収によって学校、介護施設、その他の政府が運営する施設に十分な資金を提供できるようになる。
「現在、工場で5万ドル相当の仕事をしている人間の労働者はその収入に課税され、所得税、社会保障税などが引かれます。ロボットが同じことをするようになった場合、私たちはロボットに同様のレベルで課税すべきだと考えるでしょう」(ゲイツ氏)
人間がする必要がなくなった仕事をロボットに任せることで、教育や医療、介護などの人手不足の分野に人材を振り分けることができることが社会にとって大きなベネフィットになるということだ。
イギリスのシンクタンク「IPPR」のレポートによると、この先イギリスの仕事の約44%がオートメーション化される可能性があるという。その労働価値は約2900億ポンド(約45兆円)に相当する。
「ロボット税」の支持者は、最終的にはロボットが大半の所得税を支払い、人間が労働から解放される日が来ると確信しているのだ。また、それら所得がなくなった国民の大多数をベーシックインカムで下支えする案も浮上している。
■ユートピアかディストピアか
これらはバラ色の未来を思い描く話にもなりそうだが、批判的な人々は人間の仕事に取って代わるロボットが非常に多いため(IPPRによると約1370万台)、ロボット税はオートメーション化への移行を遅らせるだけであると警告している。
専門家はまた、オートメーション化が所得の不平等につながる可能性があると警告しているが、一方で議員は現在の社会状況にふさわしい税制を検討することを怠っているとも指摘する。
2018年に発表された学術論文で、英・サリー大学法学教授であるライアン・アボット教授は「税制は他の方法では効率的でない場合でもオートメーション化を奨励します」と論じている。
「より倫理的なジレンマは、私たちが望んでいる社会をいかに平等主義的にするかということです。所得格差はすでに深刻な問題であり、より累進的な税制を導入しなければ、オートメーション化によってさらに(経済格差が)悪化する可能性があります」(ライアン・アボット教授)
作業のオートメーション化を推進する先に経済格差の拡大が待っているとすれば不吉以外の何ものでもない。先ほどのバラ色の未来とは異なり、人々がある意味で強制的に仕事を奪われて生活保護で生きるというディストピアになる可能性もあることになる。
「これは、オートメーション化によって政府の税収が減少すると同時に、労働者の再訓練と福祉への出資が増える可能性があるためです」(ライアン・アボット教授)
人類が苦役から解放されるのはいいことだが、それによって文化と芸術が花開くユートピアになるのか、大半が何の活躍もできない総貧困社会というディストピアになるのか、どうやらロボットは我々の未来を左右する重要な存在であるようだ。そしてその未来の裏で糸引く人物の中にビル・ゲイツが名を連ねているのも不気味である。
参考:「Express」、「Market Watch」ほか
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