【タイホラー通信】タイの「学校の怪談」第2弾! 実録、その生徒はなぜ名簿から消えたのか?
――タイ在住歴20年の私バンナー星人が、タイ社会では馴染みの深い、妖怪、幽霊、怪談、呪術、占い、迷信といったものに光をあて、日本人の目には触れることが少なかったタイの怪奇世界に皆様をお連れします。
■事の発端はありがちなミス
私は長らくバンコクの公立学校で中高校生に日本語を教えている。当校の中学3年生は全クラス週に1時間日本語を勉強することになっており、その授業は、私とタイ人の先生で3クラスずつ担当している。今回は、そのタイ人同僚先生A先生が成績をまとめている時に起こった、ちょっと不思議な話をさせてもらおう。
その日、私は、A先生が打ち込んだ3年6組の成績データのチェックをしていた。我々教師は成績をまとめる際、まず手書きで名簿に点数を書き、その点数を学校のコンピューターシステムに打ち込んでいく。そしてチェックするときは、名簿の点数を読み上げ、それがコンピューターに打ち込んだ点と合っているかを他の先生にチェックしてもらう、というダブルチェックの方法がとられている。その日も、A先生が手元の名簿を見ながら学籍番号と点数を読み上げ、私がパソコンの画面を見て、口頭でチェックを続けていた。
「1番82点」「1番82点OK」「2番63点」「2番63点OK 」
と確認作業が続き、それがほぼクラスの半分まで来たときだった。
「26番、77点、」という声に私は「ちょっとまって」とA先生を制止した。というのも、パソコン画面上では、25番の次が27番になっていたからだ。
「あれ? 26番欠番じゃないの?」と私が聞くと、A先生は「こっちにはちゃんとあるよ」と私に名簿を見せてきた。確認すると確かにA先生の手元の名簿には26番が存在している。
「じゃあ何かの不具合でコンピューター側だけ消えてしまったのかな」。しかし、A先生は「いや、昨日成績を打ち込んだときは確かにコンピューター上にも名前があったんだけど」としきりに首を傾げていた。「26番ってどんな生徒?」と質問するも、「週1コマしか授業がないし生徒50人もいるから、全然覚えてない」との答え。結局そのときは「あとでシステム管理している先生に聞いてくる」ということで話は終わったのだった。
全クラス分のチェックも終わり、A先生と僕は休憩がてら、学校の隣のコンビニに行くことにした。すると、コンビニの前の路上で宝くじが売られているのが目にはいった。その日の午後に当選番号発表があるということもあり、売り子は大声で「明日からあなたも大金持ち」といつもの呼び込みをしていた。
■宝くじのためならなりふり構わず願掛けするタイ人
ここでいったんタイの宝くじ事情についてお話しするべきだろう。タイの宝くじは月2回売りに出され、各月1日と16日が当選発表の日となっている。さて、タイ人というのは日本人と比べものにならないほど、宝くじによる一攫千金の夢を見ているらしく、生活の中で目にとまった数字をなんでもかんでも宝くじと結びつけて考える、宝くじ脳の持ち主なのである。その数字というのはたとえば、道にとまっていた新車の赤ナンバープレート(タイの新車のナンバープレートは1ヶ月赤色)のナンバー、友達の引越し先の新しい部屋番号、作りたての自分のパスポート番号、などなど「気になった」数字ならなんでもいいのである。
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