動物愛護管理センターが「殺処分センター」化していた!? 里親が決まった犬猫まで… 徳島県の大炎上案件を取材、悲劇の“本当の原因”は?

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イメージ画像:「Getty Images」

 今年3月、動物保護団体ヨンナナの藤本憲治代表の刑事告発により、徳島県動物愛護管理センターの前所長、課長、係長の3名が書類送検された。藤本氏によると、この3名は「ヨンナナが里親探しをした妊婦犬や雄犬など複数の犬猫を収容棟へ収容せず、倉庫に隠して3日目に殺処分していた」という。また「猫の多頭飼育の飼い主から猫を130頭連れ帰り、威嚇と奇形を理由にその日のうちに103頭殺処分した」。さらに「骨折して圧迫排尿が必要とされる子猫を譲渡不可として殺処分を決めたが、ヨンナナが引き出し病院で診察させたところ骨折も無ければ排尿もきちんとできた」ことなどを問題視して刑事告発し、受理された形だという。

 本件についてネット上では、動物愛護関係者の間で大いに炎上した。SNSでは「鬼畜じみた犯行」「動物愛護でなく殺処分センターだ」などの批判が殺到し、徳島動物愛護管理センターにはクレーム電話も絶えなかったという。しかし、徳島動物愛護管理センターは2020年3月にテレビ番組「天才!志村どうぶつ園」(日本テレビ系)にて“優しい動物愛護センター”として紹介されたこともあり、「センターは収容された犬を愛護団体と共に里親を探すため引き出す際に里親会開催など様々な処置や手配をしてくれます」「残念な飼い主のヘルプで現場へ駆けつけて対処してくれます」「センターが5年間、殺処分せず保護してくれたお陰で今の猫を家族に迎えられました」など、センターを擁護するコメントもあることは事実だ。

 とはいえ、センターが貰い手がいない犬猫を、収容スペース制限や人員不足を理由に殺処分しているのは事実で、施設HPには殺処分数・譲渡数が公開されている。「里親が決まっているのに殺処分してしまった」という今回の問題にはどのような事情と経緯があったのか。筆者はヨンナナの藤本氏、徳島動物愛護管理センターの矢野氏にオンラインインタビューを行った。

 まず、妊婦犬に関して藤本氏の主張は以下だ。

藤本氏  「2019年8月22日に妊婦犬の里親が見つかりました。準備完了まで少し日数がかかるのと、妊娠中である女の子の体を第一に考え、引き出しを8月30日まで延ばしてほしい旨を矢野課長と板東所長に伝え、了承を得ました。8月28日、(新しくセンターに収容された動物をチェックするため)管理棟を見に行くと、矢野課長は『あ、あの子は27日期限だったんで殺処分しましたよ』と」

 また、雄犬については次のように語る。

藤本氏  「2020年8月14日に収容された男の子で、徳島動物愛護管理センターから『人馴れしていない、攻撃的な野犬』とされ、公示もなく処分されそうでした。しかし、本当に賢い子で(自分達が見る限り)女の人には威嚇もしませんでした。野犬だと特定する理由もなく、飼い犬である可能性を考えた知人が、センターに『隣町から来たかもしれないので飼い主が見つかりやすいようにセンターが定期的に掲載している、あどねっと(徳島新聞のページの犬猫迷子情報)に載せてください』と何度もお願いしましたが受け入れられず。その後の会議で、センターから『危険な子はヨンナナさんの所か県内のメンバー宅で1週間程度慣らしてから譲渡してください』と言われたので、うちかメンバー宅で慣らす事になっていました。しかし、会議が行われた翌日の夕方、センターの所長から電話があり、『あの子は殺処分する事が決定しました』と」

 たしかに、藤本氏から見せてもらった動画では、この犬は人間に対して好奇心旺盛なだけにも見える。噛み癖がどの程度あるかどうか、これだけの情報では不明だ。次に猫の誤診に関して、藤本氏はこう言う。

藤本氏  「センター係長から『この子は骨折して圧迫排尿しないと尿が出ないので、動物福祉の観点から即時処分』とする旨を聞かされました。疑問に思い2019年6月に引き出し、病院で診てもらったところ、骨折もなく排尿も通常通りでした。センター職員は獣医師資格保持者であり、またセンターには獣医師会から獣医師が派遣されているので、誤診があるとは思えませんが、徳島県動物愛護センターのレントゲンは、随分前から壊れたままだそうです」

 藤本氏の話から考えると、センターは助ける命と殺処分する命の判別が実に乱暴な印象だが、3月に筆者が電話取材したところ、センターの矢野氏の主張は違った。

矢野氏  「現在、警察の取り調べ期間中なので詳細はお伝えできません。ただ、一般論として、インターネットやSNSの情報はデマが多いです。今回も一方的にネガティブな情報だけをつぎはぎしたような噂を流されています。妊婦犬に関してもいろいろな事情があり、雄犬に関しては噛み癖がかなりありました。私達は本当に一匹一匹の犬猫の幸せを心から願っています。それはきっと、深月さん(筆者)がセンターにいらしてくださればご理解いただけることかと思います」

 妊婦犬に関して、フェイスブックに公開されている藤本氏と矢野氏とのやり取りにもあるが、すでに何度も期限を延ばした末の決定であり、仕方なかったということのようだ。

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