独特の治療「森田療法」で知られる三聖病院に入院体験! 「不安のまま生きよ」虚空に土下座を繰り返す人も
ネットでは、厳しい、怪しい、効果なしとの検索候補もあがる森田療法を実際に経験したライターの栗林安吾をインタビュー!
――どのような経緯で入院されましたか?
(栗林安吾) 19歳の時、私は高校でのいじめを発端としたうつ状態に悩まされていました。なかでも不眠がとくに酷く、1週間ほど眠れなかったこともありました。苦痛のあまり母に泣きながら精神病院に入れてほしいと懇願し、母が探し出し入院させてくれた病院。それが今は無き三聖病院だったのです。精神病院というと暗いイメージを持たれるかもしれませんが、そこは「昭和の○○荘」といった感じの古い木造アパートに近く、入院患者さんたちが共同生活を送っているような不思議な空間でした。そこでは森田療法という治療がおこなれていたのです。
――実際に経験されてどうでしたか?
(栗林安吾) まず最初の5日間はとにかく寝て横になるだけです。テレビ・ラジオ・ネット・新聞といった情報源や世間とは完全に隔離されるんですよ。疲れてる人なら楽に感じるかもしれませんが、それも3日間くらいで飽きてきて、だんだんと苦痛に感じるようになるんです。5日目で新聞は読めるようになりまして、外の情報を知れるようになった時は。「ああ、やっぱり自分は外の世界と繋がっていたいんだなぁ」と思いました。それからは施設内の掃除、自分たちの入るお風呂の掃除ですね。あとは小物をつくる内職のような作業をしてました。他の患者さんたちは慣れていて、分からないことがあると親切丁寧に教えてくれるのでとても助かりました。
さらにはそれに加えて、カウンセリングや入院日記をつけそれを先生が見てわかりやすく、なにが患者自身の中で起こっているのか説明し、その問題に対してどう向き合っていけばいいのかヒントをくれるという感じでした。
――自己啓発セミナー、新興宗教っぽいですね?
(栗林安吾) ええ、よく批判されていますが、逆に批判されていない治療法の方がないのではないかと自分は思います。自分に合った治療法であれば当時は何でもよかったので、結果的に私には合っていたわけですね。もちろん投薬は入院中続いてます。ただ当時はどう生きていけばいいのか分からなくて、ヒントみたいなものが欲しかったんだと思います。自分の中の自分に気づかされるという点では自己啓発そのものという感じはします。
――当時の日記は今でも手元にあるんですよね?
(栗林安吾) はい、入院日記にはこんな風にあります。
平成19年8月20日
『私は自分と向き合わず逃げていたのだ。これからは自分の状態をよくするようにしなければならない!』という私の文に対して当時の院長であったU先生は、『自分の状態をよくしようとせず、自分について答えを出さないようにし行動で向上しなさい』と赤文字で書かれていた。
『これからのことが不安で仕方がない』ということに対しては、『不安なまま必要なことに進みなさい』と同じく赤文字で書かれている。
この記事を読んでいる読者の方もコロナ禍の中で不安な日々を送っておられるかと思います。不安で仕方がなくその不安を消そうとはされていないでしょうか? 不安は消そうとするとさらに大きくなってしまうんです。自分や人生に対する答えは出さないようにすること。特に自分に対しては自分はこういった人間なのだと決めつけないこと。不安のまま生きる。それを当時のU先生や他の患者さんから学びました。
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2024.10.02 20:00心霊独特の治療「森田療法」で知られる三聖病院に入院体験! 「不安のまま生きよ」虚空に土下座を繰り返す人ものページです。精神病院、森田療法、三聖病院などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで