独特の治療「森田療法」で知られる三聖病院に入院体験! 「不安のまま生きよ」虚空に土下座を繰り返す人も
――入院してどんな風に心が変わっていきましたか?
(栗林安吾) 入院して3日たつと気分がかなり落ちついてきました。外の世界と遮断されて一切の情報が入ってこなくなったせいかと思います。5日目から看護師さんに朝の7時に起こされて食堂に集まって食事をし、日中は作業したりするので眠くても起きてなくちゃいけない。あれだけ眠れなくて困っていたのに、1週間も経つと朝は自然に目が覚めて夜は眠れるようになりました。とにかく不眠に悩まされていたので、本当にうれしかったですね。あと当時は、「どう生きればいいのか?」とか、「自分とはいったいなんなのか」って答えを見つけようと必死だったわけです。今でも「自分探し」をしてる人は結構多いと思うのですがU先生から『迷中の是非は是非ともに非なり(迷いの中で正誤の判断をしても、どちらも誤り)』という言葉をカウンセリングのときに教えてもらい、気が付くとあまり考えなくなっていきました。それが気持ち的に一番楽だったと思います。
――入院中の忘れられない記憶はありますか?
(栗林安吾) カウンセリングを受けるために待合室にいたとき、となりにいた患者さんが突然なにもない空間に向かって土下座するんですよ。話しかけると「気にしないでください!」って言われるんですが気になりますよね……。たぶん入院される前はそうやって土下座を普段から強要されるようなつらい体験をされていたのかもしれません。あと、ある日、土砂降りの雨のあとに他の患者さんが教えてくれた、庭に咲く雨に濡れたムラキツユクサの美しさは忘れることができません。花ってこんなに綺麗なんだなと感じました。そして退院の日に、他の患者さんたちが総出で手を振って私を見送ってくれたあの日のことを私は今でも夏になると思い出すときがあります。
「コロナ禍による混乱が相変わらず続いている。大恐慌ともいえるこの状態のなかでさまざまな悩みを抱え心を病む人が増えてきている。私の周りでも心を病む人が増えてきた。混迷の時代にあっては、人は生きる意味を、答えを見つけようとするのだろうか。漫画『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる水木しげる先生も大戦中は、岩波文庫の本がなかなか手に入らなかったという。戦争という極限の中で本を読むことで当時の人は生きる意味を探そうとしたのだろう。インターネットが使えるようになった現代では多くの情報にアクセスできるようになり、情報の波の中で人は自分なりの答えを見つけ出そうと躍起になっているように感じられる。そんな悩める人たちへのヒントになればと思い、私の入院していた時の経験を公開しようと決意するに至った。この記事を読んだ人の少しでも助けになれば嬉しく思う。」(栗林安吾)
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2024.10.02 20:00心霊独特の治療「森田療法」で知られる三聖病院に入院体験! 「不安のまま生きよ」虚空に土下座を繰り返す人ものページです。精神病院、森田療法、三聖病院などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで