【W杯テロ未遂事件】ベッカムやオーウェンが暗殺標的に!? 1998年フランス大会の裏で阻止されたアルカイダ「スタジアム大虐殺」の全貌

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 ついに幕を開けた「FIFAワールドカップ2026」だが、混迷を深める国際情勢下での開催ということもあり、各地の会場では厳重な警備が敷かれているという。そして1998年のW杯フランス大会では、選手や観客を巻き込む大惨事となる寸前にテロ計画が阻止されていたことが最近になってわかっている――。

■1998年W杯フランス大会:寸前で阻止されたテロ計画

 往年のサッカーファンにとって1998年のワールドカップは、マイケル・オーウェンがアルゼンチン戦で決めた素晴らしいゴール、ジネディーヌ・ジダンがフランス代表としてトロフィーを掲げたこと、そしてデビッド・ベッカムが受けたレッドカードといった印象深い出来事として記憶されている。また日本代表が初出場を果たした記念すべき大会でもある。

 しかし舞台裏では、治安当局は危機一髪のテロ阻止作戦に悪戦苦闘していたことが後に明らかになっている。

 ジャーナリストのアダム・ロビンソン氏が2002年に出版した著書『Terror on the Pitch(ピッチ上のテロ)』では、開催前と開催中に当局はアルカイダと関係があるとされるテロ計画を次々と阻止していたことが詳述されている。テロ計画は試合会場、パリの米国大使館、さらにはフランスの原子力発電所を標的とするものであった。

 その計画はあまりにも突飛なものだったため、参加した多くのサッカー選手は、そんな計画が存在したことすら知らなかったと述べている。

 元アメリカ代表ストライカーのブライアン・マクブライドは英紙「Daily Mail」に対し、大会中に潜在的な脅威について懸念があったことを大会の数年後に初めて知ったと語った。

 ワールドカップ開催期間中、アメリカ代表チームはフランス東部にある歴史的なホテル、シャトー・ド・ピゼイを拠点としていた。選手たちは、近くの森には軍関係者が駐屯しているため、立ち入らないようにと指示されていたという。

 同著によると、このテロ計画のうちの一つは、マルセイユで行われたイングランド対チュニジア戦をメインに「グループG」リーグ戦を中心としていたという。

 計画では実行犯が作業員に扮し会場のスタジアム「スタッド・ヴェロドローム」に潜入し、選手、関係者、試合観戦中のサポーターを標的とした攻撃を画策していたという。

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 同著によると、襲撃犯の一人はイングランド代表ゴールキーパーのデビッド・シーマンの近くで爆発物を爆発させる予定だったとされ、1990年代のイングランドを代表するストライカーであるアラン・シアラーも暗殺の標的となった選手の一人だったとされている。

 報道によると、計画ではイングランド代表のスタジアム内の控室を標的にし、その後、手榴弾や銃撃で観客を攻撃して大規模なパニックを引き起こすことも含まれていたという。

 同著はさらに、デビッド・ベッカム、マイケル・オーウェン、アラン・シアラー、そしてゴールキーパーのデビッド・シーマンが、その知名度の高さから、試合を観戦する世界中のテレビ視聴者数を考慮して標的にされていたという。

 一方、パリの米国大使館、マルセイユの米国領事館、そしてアメリカ代表チームのメンバーに対する別の攻撃計画も立てられていたという。

 元アメリカ代表DF、マルセロ・バルボアは最近までこの作戦の詳細を全く知らなかったと認め「全く知らなかった」と同紙に語っている。

 未遂に終わった最も恐ろしい計画は、旅客機をハイジャックしてフランス西部のシヴォー原子力発電所に突っ込ませるという計画だ。著書によるとそのテロ攻撃が成功した場合は、1986年のチェルノブイリ原発事故に匹敵する規模の壊滅的な被害を引き起こす可能性があったという。

 その3年後に発生する「911同時多発テロ」との明らかな類似性があり、アルカイダはかなり前から旅客機ハイジャックテロを検討していたことになる。

 再び同著によると、ヨーロッパ各地で得られた情報と、二重スパイの容疑者から提供された情報が、最終的に当局がこの陰謀を暴くのに役立った。

 大会開幕前の数週間で、フランス、ベルギー、ドイツ、イタリア、スイスの警察は連携して一連の対テロ作戦を実施し、数十人を逮捕した。フランス当局はこの作戦をヨーロッパでこれまでに行われた対テロ作戦の中で最大規模の一つだと評している。

 一般大衆にはもちろんのこと、マスコミや関係者に対しても一切の情報を遮断して行われていた対テロ作戦だったわけだが、となれば今回の大会でも水面下では伺い知れない一触即発のせめぎ合いがあってもまったくおかしくない。

参考:「Daily Mail」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
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