DNAや記憶は他人にも伝播する? RNAを交換することで記憶を共有する生物、人間は?

■線虫の間での「水平伝播」が確認される
何も知らない線虫が「緑膿菌を回避せよ」という情報を“学ぶ”には、当然だが何らかの情報伝達手段が必要である。
研究チームがこの神経学的適応の背後にある他の要因を探し続けたところ、“容疑者”として「Cer1」と呼ばれるレトロトランスポゾンが関与していることがわかってきたのである。ある個体から漏れ出たCer1はまるでウイルスのようにほかの個体に“感染”して遺伝子レベルの影響を及ぼすのである。「緑膿菌を回避せよ」という情報がCer1によって周囲の個体に伝達できるということになるのだ。

「私たちが発見したのは、ウイルス様粒子を形成するCer1と呼ばれるレトロトランスポゾンが、組織間(線虫の生殖細胞系列からニューロンの間)だけでなく、個体間でも“記憶”を伝達するようだということです」とマーフィー教授は説明する。その証拠に、自然にCer1を欠いているか、または編集された線虫は、緑膿菌を回避しなかったのである。
この学習体験全体にはリスクが伴う。レトロトランスポゾンによって“感染”し、ゲノムの一部に挿入されることでネガティブな影響を及ぼす可能性もあるので、そのコストに見合うだけのメリットがなければならないことを示唆している。
自分の遺伝子は我が子にしか残せないとするのが自然な考えであり、生殖行為を経て遺伝するDNAは「垂直伝播」と呼ばれている。その一方で赤の他人や場合によっては種や属を越えてDNAが遺伝する「水平伝播」という現象も生物界には起こっている。
まれに父親にまったく似ていない子どもが生まれてくることがあるが、一説ではその母親が過去に交渉を持った男性の遺伝子が母体に残っているのだともいわれている。妊娠を伴わない性行為であっても遺伝子レベルで影響を及ぼす交流が行われているというのだ。
今回の研究で線虫の間での「水平伝播」が確認されたことになるのだが、この水平伝播はもし人間の間でも考えられている以上に起きているのだとすれば、生物としての人間の様相にさまざまな説明可能性をはらむものになるだろう。今後の研究の進展に期待したい。
参考:「Science Alert」、「New Atlas」ほか
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