「Facebookのメタバースで現実が消滅する」科学者が警鐘! ザッカーバーグの思惑とは!?
たとえば、特定の人だけが見ることができる有料のフィルターで、本人が気づかないように他人を「アルコール中毒」、「移民」、「無神論者」、「人種差別主義者」、「民主党支持者」、「共和党支持者」とタグ付けすることで、政治的分裂を増幅させたり、特定のグループを排斥したり、さらには憎しみや不信感を助長するようになる恐れがあるとローゼンバーグ氏は言う。
また、ARを利用すると小売店では客の趣味嗜好、消費傾向、年収、所有する車、家の広さなどの情報が表示され、あらゆる個人情報が筒抜けとなりプライバシーの侵害を引き起こすとも警告している。
さらに、現実認識にまでARは影響を与えるとローゼンバーグ氏は言う。少なくとも現時点ではスマホやインターネットを使用しなければ、フェイクニュースや企業のデータベースやアルゴリズムで操作された限定された情報に晒されず、本物の現実世界と向き合うことができるが、ARの台頭により、この信頼できる現実の最後の砦が完全に消滅する可能性があると言うのだ。
「『文明社会』と呼ばれる共有体験は急速に失われつつあります。それは、私たちがそれぞれ独自のデータバブルの中で暮らしており、誰もが自分の信念に合わせてカスタムされたニュースや情報を与えられているからです。その結果、私たちは偏見を強め、自分の意見を固定化してしまうのです。しかし、今日、私たちは少なくとも公共の場に入り、共通のリアリティの中である程度の経験を共有することができます。ARではそれも失われてしまいます。拡張された世界の通りを歩くと、自分の個人的な見解を補強するコンテンツで埋め尽くされた街が見え、誰もが自分と同じように考えていると錯覚してしまいます。」(同)
そして一旦そうなってしまえば、ARが生み出すレイヤーから逃れられなくなるという。周囲の重要な側面にアクセスできなくなり、社会的にも経済的にも知的にも不利になるため、人々はARシステムのプラグを抜かなくなるというのだ。
ただローゼンバーグ氏は、こうした潜在的な危険性を排除できれば、ARは世界をより豊かにするツールだと話す。そのためにも「ARを推進する側は、最初から正しいことをする必要がある」と指摘している。「メタバースの舵取りをザッカーバーグに任せて良いのか?」、ローゼンバーグ氏が暗にそう言っているように聞こえるのは筆者だけだろうか? いずれにしろ、メタバースの実現が10年後の事だと思わず、今からメタ社の動向に注視していく必要があるだろう。
参考:「Big Think」、ほか
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