形成外科は顔をどこまで修復できるのか? 学術誌掲載「顔面再建手術」の驚異的事例5選
近年、マスメディアによる報道の影響もあり、形成外科への注目が高まっている。中でも顔面再建手術は、患者が求める外観を得るための手段として切実な期待を寄せる人々も多い。しかし、顔面再建手術が成功するのは、顎矯正手術や鼻形成術、耳形成術、そしていくつかの若返りに関する手術に限定され、しかも、いくつかの条件がそろっている場合だけである。
学術誌「Hindawi」に2018年、40年以上にわたる臨床診療と約3万枚の写真の調査に基づいて、顔面再建手術のさまざまな事例を収集・紹介する論文が掲載された。その中から特に印象的な5事例を紹介したい。
■事例1. 頭蓋顎顔面外科手術
顔面再建手術の結果は、顔の形態、そして再建に必要な材料の量と質に依存する。解剖学的構造の異常や変形などの修復は、組織の欠損がないか最小限である限り、比較的成功しやすい。頭や顔などの病気や変形を治療する頭蓋顎顔面外科手術は最も難しいとされるが、頭蓋骨縫合早期癒合症(頭蓋の継ぎ目が早期に癒合してしまい、頭蓋骨の成長が妨げられる疾患)や重度の顎障害の矯正でさえ、条件が整っていれば良好な結果となることが多い。
■事例2. 組織欠損の再建手術
外傷や腫瘍切除後に組織が欠損した患者の手術は、欠損の大きさや位置、顔面神経機能に結果が左右される。組織が中程度に欠損している患者では、局所的に同質の材料を使用できれば、手術の結果はかなり好ましいものになる。たとえば、広範囲の口腔内欠損では、植皮による一次再建を行った後、周囲の皮膚の損傷や創傷の縫合を行い、段階的に修復していくことが求められる。
■事例3. 重度の先天性奇形の再建手術
先天性奇形の手術では、口唇口蓋裂などの限られた部位の再建は可能である。一方、重度の奇形の場合、組織の重篤な欠損があり、その置換の必要性のため、手術が完全に成功することは稀である。たとえば、顔面が左右非対称になる第一・第二鰓弓症候群は、顎関節や下顎枝、軟部組織の欠損が正常に再建されたとしても、正常な外観は安静時にしか維持されない。顔の患側の発達が不十分で、耳介の残骸の位置が低いため、再建手術は好ましい結果をもたらさない。
多くの先天性異常の顔面再建手術では、幼児の段階で修復箇所が多過ぎると、成長と発達に問題が生じる可能性がある。限られた範囲または段階的な手順が必要なため、どのような結果になるかは最後の手術の後にしかわからない。
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2024.10.02 20:00心霊形成外科は顔をどこまで修復できるのか? 学術誌掲載「顔面再建手術」の驚異的事例5選のページです。皮膚移植、再建手術、顔面、先天性奇形、形成外科、標葉実則などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで