犯人とされた警部補は何を知っているのか… 未解決『富山市会社役員夫婦放火殺人事件』の闇
2010年(平成22年)4月20日12時25分頃、富山県富山市にある一棟のビルで火災が発生。出火元はこの3階建てビルの2階部分で、通報を受けた消防隊により、火災そのものはほどなく鎮火したが、焼け跡からこの家に住むAさん(当時79)とその妻であるBさん(当時74)が遺体となって発見された。そのため、何者かが2人を絞殺し、ビルに火を放たれた殺人事件である疑いが浮上。すぐさま捜査本部が設置され、大規模な捜査が展開された。なお、司法解剖によりAさん夫妻は首を絞めて殺害されたことが確定し、放火には証拠隠滅の狙いがあったと見られている。無論、本稿で取り上げていることからもわかるかと思うが、事件発生から11年ほどの歳月が経った今も、この事件は解決していない。
さて、この事件をめぐっては、その後、犯人と捜査関係者しか知りえない殺害現場の詳細などを書いた手紙が週刊誌に送付され、金品と引き換えに情報提供を申し出る者が現れるなど、一般的にはあまり見られない現象が起きている点でも興味深いところだが、実はこうした一連の経緯を踏まえた捜査の結果、意外にも一度は解決に向かうかに思われた。というのも、事件発生から2年以上が経過した2012年(平成24年)10月に、富山県警の現職警部補・C(当時54)が逮捕されたからだ。しかもこのCは、私生活においては借金まみれであり、知人に対して、金と引き換えに薬物関係の捜査情報を不正に提供していた疑いが浮上。しかも、殺害されたAさん夫妻とは面識どころか数十年来のつきあいがあり、事件後に睡眠薬での自殺未遂を起こしているなど、不審な点が多々あるというのだ。実際、C自身も当初は容疑を認めるかのような供述をしており、こうした警察発表を受ける形で、マスコミ各社も、比較的早い段階から、彼が真犯人であるかのように報じていたのである。しかしその後、Cの供述は次第に曖昧なものとなり、また、集められた証拠にも、疑わしい部分が散見されたことから、結果として嫌疑不十分で不起訴となってしまう。つまりは、事件発生から2年以上の時間をかけた末に、再び捜査が振り出しに戻ってしまったというわけだ。
こうした経緯から、巷では「現職警部補の殺人事件」というショッキングな出来事を闇に葬ろうという狙いで、県警による隠蔽が行われていたのではないかとする都市伝説じみた話が囁かれるようになった。しかし筆者は「少なくとも殺人事件についての隠蔽はなかった」と見ている。というのも、もし本当に事件を隠蔽しにかかったのであれば、これだけ巷で騒がれた殺人事件で逮捕した人間が、不起訴になるようなヘマはしないからだ。よくよく考えてみて欲しい。それまでに多くの捜査員を投入し、時間をかけて捜査した上で“身内”を逮捕しているのである。そんな恥を晒す前に、でっちあげでもなんでも、“それらしい人間”を用意し、逮捕すればよいのだ。にもかかわらず、実際にはわざわざ“身内”を逮捕することで恥を晒し、それがさらに不起訴となったことで、恥の上塗りとなっているのだ。果たしてこうしたダメージを組織全体として負ってまで、県警が隠蔽工作を行うだろうか。
では、真犯人の存在をはじめ、事件の全貌は一体どんなものだったのか。それを“ある仮説”に基づく形で、後半でご紹介したいと思う。
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