話題の画家が「神様のレッスン」の真相激白! 世界の正体がわかり、人生激変し…!?(インタビュー)
昨年12月に出版された『神様のレッスン』が、いわゆるスピリチュアル系や自己啓発系といった枠を超えて大きな話題になっている。編集部でも早速入手したが、表紙のイラストとタイトルから『夢をかなえるゾウ』のように、主人公が成功の秘訣を指南されて課題をクリアしていく内容かと思ったら、とんでもない。少年が成長していく姿を通じて、“生きることそのもの”が描かれているのだ。
主人公のアチャールくんにまつわる波乱万丈、山あり谷あり、一気に読んでしまう面白さの一方、その深い内容を一言で表するのは難しい。そこで今回、著者の画家・小暮満寿雄氏に直接インタビューを行った!
■苦難からの脱却こそ至高
――今回の本で、一番何を描きたかったのですか?
小暮満寿雄(以下、小暮) 一言でいうと、「人間、最後には幸せになれる」ことをテーマにした作品です。
――たしかに幸せな気持ちになるラストでしたが、もう少し突っ込んで「最後に幸せになれる」という意味を教えてもらえませんか?
小暮 まず、ここが一番重要なのですが「幸せになれる」のは、物語の中だけではなく、現実の世界で実現できることを伝えたかった。
――でも、幸福のあり方って人それぞれで違いますよね? お金、恋愛、仕事……。
小暮 もちろん幸福の価値観は個々でまったく異なります。しかし、誰でも幸福感を覚える共通の瞬間というものがあります。それは辛いことや悲しみから抜け出した瞬間です。
生きていてイヤなこと、苦しいことに縁のない人はいませんが、人生にはそこから脱却できる瞬間が必ずある。その瞬間の幸福感を求めて『神様のレッスン』を制作しました。
――つまり、「人間、最後には幸せになれる」というのは、苦難からの脱却のことなのですね。
小暮 芸術には昔からこのテーマがあって、一番有名なものとしてはベートーヴェンが掲げていた「苦悩のあとの歓喜」でしょう。第九や第五交響曲はその最たるものです。比較するのもおこがましいですが、苦しみ悲しみの後にやってくる喜びこそが、最も幸福感を感じさせるものであることは間違いありません。
■アチャールくん誕生秘話
――本書の土台にある前著『インドの教え』も読みましたが、主人公のアチャールくんが成功の道へ一歩踏み出したのに、また元のストリートチャイルドに戻ってしまい寂しい気持ちになりました。ところが本書は、同じエピソードが入っているにも関わらず、ハッピーエンドになっています。それは小暮さん自身の経験と何か関係あるのでしょうか?
小暮 はい。この2作には20年の隔たりがありますが、その間に起こった苦しみが喜びに変わったさまざまな瞬間を作品に封じ込めました。そもそもアチャールくんは私自身の経験から生まれ育ったキャラクターです。
私は美大で油彩を学び、神奈川県厚木市で美術教員として2年勤めた後、前から行きたいと思っていたインドに半年ほど自由旅行をしたのですが、その時にコルカタで出会ったストリートチャイルドが、アチャールくんのモデルです。その子は、ちっともかわいくなかったけど(笑)。帰国後はバブルの真っ最中で、デザイン会社にあっさり就職しました。その時、会社が参加していた展示会用に描いたマンガのキャラクターがアチャールくんでした。今から30年以上前のことです。
その後、フリーランスになり運良く2冊ほど本を出せたのですが、アチャールくんの本もいつか出したいと考えていました。その時、たまたま業界紙で見かけたのが、当時ベストセラーを出していた新進気鋭の編集者でした。
「この人だ!」と勝手に思い込み、簡単な構想を描いた手紙を出したところ、あっさり企画が通ったのです。そこまではラッキーだったのですが、私自身はマンガ家としてほとんどズブの素人でしたから、その編集者さんを納得させるまでの下描きを完成させるまでに、インド取材も含め2年ほどかかってしまった。
――下描きに2年ですか! それは長くかかりましたね。
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