肉体を捨てて永遠の命を獲得!? 精神のアップロード技術「全脳エミュレーション」の最先端

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　マインドアップロードのコンセプトは、我々の脳は多かれ少なかれ非常に複雑なコンピューターであるという考えに依拠しているのだが、実際の意識がどこから来ているのかはまだわかっていない。それはニューロン、シナプス、電気化学的プロセスの束に宿るものなのか、それとも量子論的な現象などを含むそれとは別のものであるのか、この根本的な問いに対する答えはまだ見つかっていない。

　米コネチカット大学、哲学・認知科学プログラムのスーザン・シュナイダー氏は、この難問について彼女の考えを述べている。

「心とは何ですか？ あなたがアップロードを生き残るかどうかを知るためには、心が何であるかを理解することが重要です。心がただの脳であるなら、あなたは生き残れません。心はプログラムだと言う人もいます。しかし、方程式のようなプログラムは抽象的な実体です。数式として記すことはできるものの、方程式はどこにも存在しません。おそらく、あなたの心は具体的なものであり、場所を持っています。おそらく、あなたはプログラムがインスタンス化したものです。何かがあり、プログラムが実行されていますが、それは何ですか？ これは私たちを私の元の質問に戻すだけです。心とは何ですか？ と」（スーザン・シュナイダー氏）

　何が自己とアイデンティティを構成するのかという問題は、まだ我々が明確な答えを持っていない問題である。したがって、我々が“アップロード”を試みようとする前に、こうした問題について慎重に検討する必要があるだろう。

「なぜ、あなたの心はあなたの脳からコンピュータに“シフト”したのに、あなたのまだ働いている生物学的脳をそこに残しているのでしょうか？ これは私には魔法のようです。より合理的な仮説は、あなたがまだテーブルに着いていて、あなたの脳の働きを指定するプログラムが作成されているというものです」（スーザン・シュナイダー氏）

　当然ではあるが、生物としての人間の脳は刻々と変化し、その都度“書き換わって”いる。アップロードされた全脳情報がもしその後何ら変化しないものであるとすれば、死んでいるも同然の脳ということになるだろう。自分の脳が置かれた状態を常に俯瞰して把握し、必要とあらば“書き換える”ことができる存在が“心”ということになるのかもしれない。はたしてアップロードされた全脳エミュレーションに心が宿るのかどうか、今のところはまだなかなか危険なギャンブルと言えるのかもしれない。

参考：「Mysterious Universe」、ほか

文＝仲田しんじ

仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター　@nakata66shinji

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