人口の10%が色覚を失った島の秘密とは? 衝撃的原因と250年前の悲しい真実
色覚異常の中でも人口の0.01%以下といわれる極めて稀な「1色型色覚」の人が、なんと10人に1人の割合で存在する特異な地域がある。そこは、太平洋西部に浮かぶ島「ピンゲラップ島」だ――。
■島民の1割が色覚異常「1色型色覚」の島
色覚異常や色覚障害と称される人は、日本国内で300万人以上いるといわれ、よく知られている赤と緑を識別することができない「赤緑色覚異常」は日本では男性の5%、女性の0.2%を占めるとされる。その中でも、見るものに色がなく白黒の濃淡で見える「1色型色覚」は、人口の0.01%以下といわれる極めて稀なケースだ。
しかし、なんとこの1色型色覚が住人の10%を占めるという特異な地域がある。そこはミクロネシア連邦に属する太平洋の環礁であるピンゲラップ環礁にあるピンゲラップ島で、島民の10人に1人が1色型色覚なのである。
1色型色覚は、色を知覚する錐体細胞が完全に欠如しているため、黒・白・灰色でしか見えず、色を感知することができない。これに加えて、光に対する過敏症、視力の鮮明さの低下、および目の不随意運動も経験する可能性がある。では、なぜピンゲラップ島ではその割合が高いのか。
■近親婚を繰り返した4世代目で色覚異常者が急増
1775年、猛烈な台風が太平洋のピンゲラップ環礁を襲い、ピンゲラップ島の住人の大半が命を落とし、生存者はわずか19名であった。そして生存者の1人は島を統治するナムワーキ・ムワネニースド王だったが、彼に色覚異常の遺伝的因子があったのだ。
壊滅的な台風の後、島の再興はこの19人によって成されたが、ムワネニースド王は3人の妻との間に7人の子供どもを残し、そのうちの1人はいとこと結婚するなどした。こうした近親婚の過程で、ムワネニースド王が持っていた色覚異常の遺伝的因子が受け継がれるとともに発現し、台風から4世代後になると色覚異常が急に増え始め、やがて島民の1割を占めるまで至ったのである。症状はないものの色覚異常の遺伝的因子を持つ者まで含めると島民の30%にも及ぶという。
もともと王家の間でこの遺伝的因子が存在したが、台風の後に近親婚が繰り返されることで、1色型色覚が発現する遺伝子が多くの島民の間に広がったと考えられるのだ。
閉ざされた島の中で繰り返される近親婚が原因だったということは、今後の世代でさらにその割合が高まる可能性もある。島民同士の結婚を抑制したり、移住者を増やすなどして、多様性を確保する政策が急務であるとも言えそうだ。
参考:「IFL Science」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊人口の10%が色覚を失った島の秘密とは? 衝撃的原因と250年前の悲しい真実のページです。近親婚、遺伝、色覚異常、色覚障害、ピンゲラップ島などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで