古代人は数百トンの岩を浮遊させる音波技術を駆使していた! 「音響考古学」が解き明かす巨石文明の謎

■音響考古学が明かす古代文明における“音”の秘密

 古代文明における音に注目した「音響考古学(archaeoacoustics)」では、世界中のさまざまな古代文明で、音が神聖なものとして扱われていたことが分かっているという。近年の研究によると、ストーンヘンジはちょうど音波に干渉するように配置されており、ノイズキャンセラの役割を果たしていることが分かっているそうだ。ペルーの古代遺跡チャビン・デ・ワンタルでも、近隣で吹かれた貝笛の音を猫の鳴き声に変えるように構造物や像が配置されており、メキシコ・テオティワカン遺跡のケツァルコアトルの神殿も、反射した音が、神の使いである鳥「ケツァール」の鳴き声を発生するようになっているという。

 マルタ島で発見された2500年前の遺跡「ハル・サフリエニの地下墳墓」は、墓としてだけでなく宗教的な儀式の場としても使用されていたと見られ、音響上の特殊な仕掛けが存在するという。ここでは男性の声が70Hz~114Hzに変換され、打楽器の音も不思議な共鳴をするというのだ。この帯域の音は人間の脳活動に強い影響を持つことが後に判明しており、おそらく、スピリチュアルな効果を狙ってのことだと見られている。

 このように古代文明では音が非常に重視されてきた。古代の伝承、科学的な事実、そして考古学上の発見を考慮すると、極めて特殊な音の効果で彼らが巨石を空中に浮かしていた可能性は高いと言えるだろう。今後さらなる驚きの発見があることに期待しよう。


参考:「EWAO」、ほか

TOCANA編集部

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