チェスの天才に「アダルトグッズによる不正行為」疑惑 振動で最善手をカンニングか?
チェスの天才と呼ばれる男が、30万ポンド(約5000万円)の賞金をかけた世界最大のチェストーナメントの1つシンクフィールド杯の決勝戦で、靴の中にアダルトグッズを入れて、その振動で正しい手を知らされていたとして、カンニングを疑われている。
同大会で、世界ランキング 49 位以下のアメリカ人ハンス ニーマン(19)は、5度のグランドチャンピオンに輝いているマグヌス・カールセン(31)を撃破。カールセンはそれまで53連勝を記録しており、2人には大きな実力差があると考えられていた。
そこで、直腸に振動を与えるアダルトグッズの振動により、最善手を遠隔で教えられているという疑惑が浮上。この論戦にはスペースXのCEOであるイーロン・マスクも加わり、すでに削除されたツイートで「才能は誰も打てない的を射る、天才は誰にも見えない的を射る(それは尻にあるから)」とニーマンの不正疑惑を揶揄した。
この不正疑惑の影響のため、大会主催者は今の試合を15分遅れで放送し、さらにセキュリティ対策を講じることになった。
対戦相手だったカールセンは、シンクフィールド杯を棄権し、敗戦の翌日には、サッカー指導者のジョゼ・モウリーニョが「もし私が喋ったら、大変なことになる」と話すビデオクリップを含む不可解なツイートを投稿。アメリカのグランドマスターであるヒカル・ナカムラは、ニーマンが「おそらく不正をしている」と思ったからカールセンが辞退したと主張し、疑惑はさらに深まる結果となった。
ニーマンは、12歳と16歳のときにオンラインイベントで不正をしたことを認めたが、今は「クリーン」であり、無実を証明するために裸でプレーする用意さえしていると主張。しかし、その後、Chess.comは、ニーマンが頻繁にオンラインで不正をしていたとして、同サイトとChess.comのイベントから追放した。
チェス界で反則行為はしばしば見られる。2019年にはラトビアのグランドマスター、イゴール・ラウシスが、トイレに隠したスマホで手を調べていたことが発覚し、6年間の追放処分を受けた。2010年にはフランスチームの3名が協力して不正行為を実行。遠方にいる1人が盤上の動きをコンピュータ解析し、SNSを通じて最善手をコーチに送信。コーチはテーブルに座ったり立ったりなど、あらかじめ決められたサインで最善手をプレーヤーに伝えていた。その後、不正を実行したセバスチャン・フェラーは6か月の執行猶予付きの実刑判決を受けた。
果たしてニーマンは不正をしていたのか、実力で勝ったのか、真相解明を待ちたい。
参考:「The Independent」、ほか
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