トレパネーションを現代に蘇らせたバート・フーゲスとは?
頭蓋骨に穴を開けて「永続的にハイ」 トレパネーションを現代に蘇らせたバート・フーゲスとは?

頭皮を切開して頭蓋骨に穴を開け、穴をふさがないまま頭皮を縫合する行為は「トレパネーション(穿頭)」と呼ばれる。
脳腫瘍、硬膜外血腫、頭蓋骨折などの治療のために行われる医学的な外科手術も穿頭の一種である。一方、身体改造としてのトレパネーションは、頭蓋骨に穴を開けることで意識の覚醒を目指す。後者のトレパネーションを実践した人々の中でも、科学的な理論を提唱したのがバート・フーゲスである。
トレパネーションを実践した医学生
オランダ人男性のバート・フーゲスはアムステルダム大学の医学生だった。しかし、LSD研究を提唱し、娘を「マリア・フアナ」と名付けたことから、学位を拒否された。
1964年に『脳血液量のメカニズム(ホモ・サピエンス・コレクトス』を出版したフーゲスは、トレパネーションによって血液と脳脊髄のバランスをとることで脳の機能を強化できると提案した。頭蓋骨に赤ん坊の泉門(頭骨の骨化が未完成で、膜だけ塞がっている頭蓋骨の間隙)に似た開口部を作成すれば、心臓の鼓動によって血液が脳の周りを自由に移動することが可能となり、永続的にハイな状態を維持できるという。
健康な成人の頭蓋内圧は7~15mmHgであるのに対して、大気圧は約760mmHgである。頭蓋骨に穴を開けると頭の中の圧力が上がるため、血液と脳脊髄液の比率が増加して脳に酸素が多く供給されるようになり、脳の代謝が活発になる。このように理論づけたフーゲスは、頭蓋骨に穴が開いている人間が新種の人類「ホモ・サピエンス・コレクトス」であるとした。

1965年1月6日、フーゲスは、足で操作する電気歯科医用ドリルを使用して、セルフトレパネーション(自分で自分の頭に穴を開ける行為)を実施した。同月11日には、アムステルダムのダム広場で開催された芸術祭で、頭部の傷を多くの観衆の前で披露した。翌年、トレパネーション理論を拡張した著書『トレパネーション:精神病の治療法』と自伝『穴のある人間の本』を出版した。
フーゲスの弟子が頭蓋骨に穴を開ける

フーゲスから最も影響を受けた弟子が英国人男性のジョセフ・メレンだった。メレンはイートン大学とオックスフォード大学で勉強していたが、1960年代にスペイン・イビサ島で開催されたパーティーでフーゲスと出会ってLSDを紹介された後、フーゲスに同調して退学した。メレンは「洗礼者ヨハネのような者」を自称した。
1966年、メレンはロンドンで、英国の女性美術家であるアマンダ・フィールディングにフーゲスを紹介した。同年夏、メレンとフィールディングは、アムステルダムにいたフーゲスに電話をかけ、英国に戻って、メレンの頭蓋骨に穴を開けるのを手伝ってほしいと頼んだ。しかし、フーゲスは入国を拒否されたため、フィールディングが代わりに手伝うこととなった。メレンはドリルを使って頭蓋骨に穴を開けようとして意識を失ってしまい、フィールディングが呼んだ救急車で病院へ搬送された。
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