「バとカ」は世界共通だった! 罵り言葉に特徴的な音が研究で判明!
「ファ○ク!」などのいわゆる四文字語(four-letter word)は品性に欠ける悪態や罵りの言葉だが、それがゆえか心に刺さるインパクトがある。このインパクトは言葉の意味よりもむしろ発音からもたらされているものなのだろうか。もしそうだとすれば、罵りの言葉には言語を超えた音声的な特色があるかもしれない――。
冒涜的な表現に言語を超えた普遍的な音のパターンがある
気分がムカムカしたり、洒落にならない失敗をしでかした時に口をついて出てくる言葉は、それがどの国の言語であれ耳障りの悪い呪いの言葉のようであったとしても不思議ではない。
原則的には言葉の発音とその意味との関係は恣意的であると見なされているが、罵り言葉には感情や態度をエスカレートさせる発音が含まれているとも考えられている。しかしさまざまな言語での罵りの言葉の発音に普遍的なパターンがあるかどうかを調査した研究はこれまで行われていなかった。
そこで英ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校の研究チームは罵りや悪態、卑語といった冒涜的な表現に普遍的な音のパターンがあるかどうかを調べるために、さまざまな言語の話者を対象とした一連の実験を実施したのである。
最初の予備研究では、5つの言語の話者(1言語につき20人) を対象に、人種差別的な中傷を除いて、自分の言語で知っている最も冒涜的な言葉をリストアップすることを求めた。
リストアップされた言葉を分析したところ、そうした冒涜的な言葉には「接近音(approximant)」がほとんどないという共通する特徴が浮き彫りになったのである。接近音とは声帯音を共鳴させて作り出す無摩擦の子音であり、英語ではl、r、w、y などの発音である。
こうして冒涜的な言葉に共通する要素があることが示唆されることになったのだが、続く2つの実験でこの特徴がさらに確かなものになった。さまざまな言語(アラビア語、中国語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、スペイン語)のネイティブスピーカーが話す言葉において、接近音が含まれている言葉は冒涜的な言葉である可能性が著しく低くなったのだ。
さらに婉曲表現などによってマイルドにサニタイズ(sanitize)された英語の罵り言葉(たとえばdamnから変化したdarnなど)には、元の罵り言葉よりもはるかに多くの接近音が含まれていることもまたわかってきたのだ。きわめて限定された範囲の言葉ではあるものの、言語の壁を超えた普遍性が確認されたことの意味は大きいと言えるだろう。
破裂音と破擦音は冒涜的な言葉に適している
あらゆる言語で表現されている罵り言葉や悪態などの冒涜的な言葉にはほかにも言語の壁を超えて普遍的な共通点はあるのだろうか。
ウェブメディア「Big Think」の記事では、特に破裂音(はれつおん)と破擦音(はさつおん)は、他の音よりも冒涜的な表現に適していることが示唆されている。
破裂音(plosive)とはその名の通り、破裂するように口を開いて瞬間的に出す音で、日本語ではパ、バ、タ、ダ、カ、ガなどが破裂音にあたる。
一方で破擦音(affricate)は同じく破裂するように口を開いて瞬間的に出す音に摩擦音が発生する子音のことである。日本語の五十音のタチツテトを破擦音で発音するとツァ、ツィ、ツ、ツェ、ツォという感じにもなる。
破裂音と破擦音は、ほかの音よりも攻撃的に聞こえるため、使用すると言葉尻が荒っぽくなり冒涜的な言葉に適していると考えられるということだ。
少なくとも悪口に関しては、音が持つ象徴性、または音声が意味するものが、多くの世界の言語で普遍的であることを示唆している。確かに英語をまったく知らなくとも、アメリカ人が口にする“ファ○ク”という悪態を聞けば、それが何かネガティブで侮蔑的な表現であるように受け止められるのではないだろうか。
したがって冒涜的な表現には音声面での普遍的なパターンがありそうで、複数の言語の罵り言葉は、ほかの言葉の発音よりも破裂音と破擦音など一部の音の割合が高くなるということになりそうだ。
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2024.10.02 20:00心霊「バとカ」は世界共通だった! 罵り言葉に特徴的な音が研究で判明!のページです。言語、声、外国語、四文字語などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで