爆弾魔「ユナボマー」と交流した日本人学者の考察 IQ167の天才が送った「異常な手紙」とは?
19時から放送される「世界の何だコレ⁉︎ミステリー」(フジテレビ系)では、FBI(連邦捜査局)が18年追ったIQ167の連続爆弾魔、通称”ユナボマー”が取り上げられる。
以前TOCANAでは、教育学者・阿部憲仁氏による連載で、ユナボマーことテッド・カジンスキーについて紹介している。 幼い頃から成績優秀でハーバード大学に飛び級進学、名門大学にて助教授として務めるもわずか29歳で退職。その後、人里離れた山小屋で自給自足の生活を送りながら、約20年間にわたって連続爆破事件を起こす。本稿では、終身刑に処され、現在も収監中のこの男が抱えていたであろう心の闇を考察する。
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※ こちらの記事は2020年11月3日の記事を再掲しています。
★気鋭の教育学者・阿部憲仁がシリアルキラーの実像に迫る「凶悪犯プロファイル」シリーズ★
テッド・カジンスキーは幼い頃から優秀で米ハーバード大学へ飛び級進学、IQ167を誇り、名門カリフォルニア大学バークレー校の数学助教授を務めていた。1978年から1998年までの約20年間、アカデミックなキャリアを捨てて人類の文明からかけ離れた原始的生活を送りながら、文明の基軸と考える大学と航空会社に爆弾を送り付け、3名を殺害、23名を負傷させた。最終的には弟の通報により逮捕されて終身刑に処され、現在も連邦刑務所としては最高セキュリティのフローレンス刑務所に収監されている。
人生の概要
母親によると、テッドは幼少期、ひどい蕁麻疹で隔離入院したことがあるという。そのことが、陽気なテッドを無口で無感情な引っ込み思案な子供にしてしまったという。
小学校に入学すると、リーダー格になって再び周りの学生と仲良く学校生活を謳歌し始めるが、教育熱心な母親が上の学年に飛び級させたことから再び孤立し、年上のクラスメートたちからいじめを受けるようになる。IQは高く頭脳明晰であったが、周囲の人々からは「大人びているというより、まるで老人のよう」と思われていた一方、社交的に追いつめられると固まってしまうという一面もあった。
高校時代も優秀さとシャイな性格は変わらず、大学生活に対する十分な精神的準備ができないまま、名門ハーバード大学に合格し入学した。
20代中頃より、自分が女性であるという性的イメージを抱き始める。
その後、ミシガン大学を始めとするさまざまな大学で修士、博士を取得、最終的にカリフォルニア大学バークレー校で助教授として採用される。しかし、病的と言っていいほど人との交流を避けるテッドに対し、受講生たちからのからかいもひどく、わずか29歳で退職し、米モンタナ州で電気も水道もない自給自足生活を始める。
その後、彼は53歳に至るまで、ワシントンポストやニューヨークタイムズに挑発文を送り続け、正体がばれないよう細心の注意を払いながら犯行を続けた。彼が1995年に作成したマニフェスト「産業社会とその未来」は各ページ2段構成で35ページに渡る大長編であった。
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