歴史的事件に関与する「人間の皮膚で装丁された本」 英国で最も奇妙なオークション出品物を紹介

 非常に価値のある物品からいわく付きの物まで、さまざまな物品が集まり出品されるオークション。そんなオークションに出された一番の奇妙な品とは何なのだろうか。地域やオークションの内容にもよるが、イギリスのとあるオークショニアは非常に不気味な一冊の「書物」を上げている。

 先日公開されたイギリスのソーシャルメディアシリーズ「Oversharing with Strangers」にて、サウスヨークシャーのドンカスターにあるWilkinson’s Auctioneersのオークショニアであるシド・ウィルキンソン氏が登場。MCの女性に「これまでオークションで売ったものの中で『最も奇妙なもの』は何か」と問われたウィルキンソン氏は、「皮の本」だと回答。女性が「皮でできた本? 人間の皮膚?」と聞き返すと、ウィルキンソン氏は肯定してみせたのだ。

歴史的事件に関与する「人間の皮膚で装丁された本」 英国で最も奇妙なオークション出品物を紹介の画像1
画像は「Daily Star」より

 問題の本がこちら。全体が茶色く、表面に皺が寄っているものの年代相応の古書に見える。だが、この本は17世紀に作られたものであり、イギリスの歴史的に見ても非常に重要な事件と関わっている貴重な書物だというのだ。

 この本の装丁に用いられたのは、ヘンリー・ガーネットという神父の皮だ。ガーネット神父は1605年にイングランドにおいて発生した政府転覆未遂事件である「火薬陰謀事件」の共謀者だとされ、処刑された人物である。火薬陰謀事件はロバート・ケイツビーを首謀者とするカトリック教徒たちが、国王ジェームズ1世の暗殺を企てたが失敗に終わった事件だ。

 ガーネット神父はケイツビーの計画に関わっているのではないかという疑惑を受けて尋問をうけ、事件の首謀者であるガイ・フォークスの告白を受け、国会議事堂が爆破されることを知る立場にあったとして裁判にかけられたのだ。ちなみに、ガイ・フォークスを模したマスクは国際的ハッカー集団「アノニマス」の象徴となっている。

 裁判の結果ガーネット神父には大逆罪が下り、首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑が宣告された。しかし最初の絞首刑の段階で群衆がガーネット神父の足下に駆け寄り、足を引っ張って絶命させたため、後の処刑を生きたまま受けることはなかったという。処刑されたガーネット神父の皮を剥ぎ、装丁したものがこの本だったのだ。制作されてからかなりの年月が経っているようなので、皮が剥がれてしまうことはないのか、という質問に対しては「普通の牛革などと変わらない」とウィルキンソン氏は回答している。

歴史的事件に関与する「人間の皮膚で装丁された本」 英国で最も奇妙なオークション出品物を紹介の画像2
画像は「Daily Star」より

 ちなみにこの本をWilkinson’s Auctioneersに出品した人物は、この本を5000ポンド(約860万円)で購入したと語っていたとのこと。しかし、他者に売却することを拒否したため、この本はWilkinson’s Auctioneersに保管されることになったという。

 なお、ウィルキンソン氏はこの本について、「本の表紙に被害者の顔と思われる人の顔が浮かんでいるように見えるので、ちょっと不気味です」と述べている。皆さんはこの「本」の表紙に何が見えるだろうか。

参考:「Daily Star

【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】

文=勝木孝幸(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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