気候変動は「お酒の味」を変えていると判明! 甘いワイン、味気のないビール…

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画像は「Getty Images」より

 地球環境に大きな影響を与えている気候変動だが、なんとさまざまなアルコール飲料の味までも変えてしまっていることが最新の研究で明らかになった。

 まずはワイン愛好家にとって喜ばしい話から紹介しよう。英オックスフォード大学の研究チームは、地球温暖化が少なくともボルドーのワインの品質を向上させていることを発見。

 フランスワインの名産地であるボルドーの50年分のワインスコアを分析したところ、近年は夏が暖かく、冬は雨が多いため、ワインの出来が良くなっていることが明らかになったというのだ。そして、気候変動のおかげで、美味しいワインが作られる条件はより一般的になるとのこと。

 ただ、気候変動は全てのワインを美味しくするわけではないようだ。米カリフォルニア州のブドウ畑は、「煙害」によって全ヴィンテージのブドウが台無しになる恐れがあるという。山火事によりブドウに灰のような風味が染みついてしまい、ワインに適さなくなってしまうのだ。山火事から数キロ離れていても、風下にあるブドウは使い物にならないという。実際に2020年にナパ・ヴァレーで発生した山火事では、推定8%のワイン用ブドウがダメになった。

 そして気候変動の悪影響はビールやラムにも及んでいる。

 チェコ生命科学大学プラハ校の研究者たちは、気温の上昇によって生育期が変化すると、ビール用ホップが「ホッピー」でなくなる可能性が高く、したがって苦味も少なくなることを発見。

 研究チームは1971年から2018年にかけて、ドイツ、チェコ、スロベニアにあるヨーロッパのビールホップ生産地の90%から、ビールホップの収穫量と「アルファ酸」含有量に関するデータを収集。ビールに独特の葦のような風味を与えるホップには、苦味のあるアロマと品質全体に寄与する「アルファ酸」と呼ばれる化合物が含まれている。

 学術誌「Nature」に掲載された報告によると、1994年以前と比較して、ホップは20日早く熟し始め、重要な熟成期間がずれることで、アルファ酸の含有量が減っているという。

 また、ホップの生産量は1ヘクタールあたり年間約0.22トン減少し、アルファ酸含有量は約0.6%減少しているそうだ。

 過去のデータと気候モデルを組み合わせることで、研究者らは、2050年までにビール用ホップの収穫量は最大18%減少し、アルファ酸含有量は最大31%減少する可能性があると推定している。

 そして、ラム酒を襲う危機はさらに深刻だ。古典的なラム酒の原料となるカリブ海産のサトウキビは、海面上昇に飲み込まれ、耐暑性の雑草に食い尽くされる可能性があるというのだ。

 先月、仏トゥールーズ大学の化学エンジニアが率いる研究が、「雑草が高温条件下で増加すると予想される」と報告した。皮肉なことに、淡水の蒸発や過剰使用もサトウキビを苦しめ、プランテーションの縮小や海面上昇による業界の問題をさらに深刻化させると研究者たちは指摘している。

 今日のこの一杯は数十年後には別の味に、もしかしたら存在さえしなくなっているかもしれない。気候変動は愛酒家にとっても大問題のようだ。

参考:「Daily Mail

文=S・マスカラス(TOCANA編集部)

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