プラネットX(ニビル)は実在しない!? 惑星を装った「特殊な重力」か

 忘れた頃に突然やって来るかもしれない危険で不気味な謎の第9惑星「プラネット・ナイン」は本当に存在しているのか。最新の研究では、重力の新たな解釈によってこの9番目の惑星は存在しないことになるという――。

ブラネット・ナインは存在しない!?

 いわゆる“陰謀論”界隈では地球に災厄をもたらすとされる惑星「ニビル」とも同一視されている仮説上の太陽系第9惑星「ブラネット・ナイン」は本当に存在しているのだろうか。

 二ピル、プラネットX、そしてこのプラネット・ナインについてはこれまでもトカナで取り上げてきたが、新たな研究では大胆な結論が報告されている。プラネット・ナインは存在しないというのだ。

 2014年に海王星を越えた太陽系外を含む宇宙を異常な軌道で公転している可能性のある天体の存在が浮上してプラネット・ナインと呼ばれるようになり、2016年にカリフォルニア工科大学のコンスタンティン・バティギン氏とマイケル・E・ブラウン氏によってプラネット・ナインが存在する間接的な証拠を示す研究が発表された。

 まだ仮説の域を出ていないプラネット・ナインであるが、オカルト的終末論の文脈で語られる惑星「ニビル」と同一視されるなどの経緯もあり、一部の科学者たちの注目を集めて今日に至っている。

プラネットX(ニビル)は実在しない!? 惑星を装った「特殊な重力」かの画像1
画像は「Pixabay」より

 しかしそこに“悲報”が届けられたのかもしれない。新たな研究では、我々が巨大な謎の惑星であると想定していたものは、重力の解釈を変えてみることで跡形もなく消滅するというのである。つまりプラネット・ナインは存在しないというのだ。

 今年9月22日に米ハミルトン大学Tシャツとケース・ウェスタン・リザーブ大学の合同研究チームが「The Astronomical Journal」で発表した研究では、太陽系外縁部で観測されたとされる重力異常は実は存在していないと示唆している。研究チームは「修正ニュートン力学(MOND)」 として知られる重力の代替概念を適用すると、プラネット・ナイン仮説はナンセンスになることが示されたのだ。

 アイザック・ニュートンの第二法則では物体を引っ張る重力は、物体とそれを引っ張っている物体との間の距離に反比例する。つまり2つの物体間の距離が離れるにつれて重力は弱まると説明されている。

 しかしMONDはこれを微修正し、一定の距離を超えるとそれ以上距離が離れても重力の強さはそれほど低下しないことが示唆されている。そしてこのMONDを適用すると、また別の謎であるダークマター(暗黒物質)の存在を考慮する必要はなくなるのである。

 研究者たちは当初、プラネット・ナインの説明の可能性としてMONDを排除するという、まったく逆の取り組みを行っていたのだが、皮肉にもMONDを問題に適用すると、問題は完全に解決されたように見えて驚いたということだ。

「MONDは銀河規模の観測を説明することに非常に長けています。しかしそれが太陽系の外側に顕著な影響を与えるとは予想していませんでした」と研究チームのケース・ウェスタン・リザーブ大学の理論物理学者、ハーシュ・マーサー氏は声明で述べている。

 ダークマターは観測された銀河の「失われた質量」の問題を説明するために提案された概念である。一方でこのMONDは、もし遠方の物体がより大きな重力を経験しているのであれば、我々が当初考えていたほど多くの質量が失われることはないかもしれないと示唆している。太陽系外にも相応の重力の影響が及んでいるとすれば、そこには何も“異常”はなく、プラネット・ナインが存在する余地もないということになる。

MONDの適用は無理がある!?

 プラネット・ナインは存在しなかったということになるのだろうか。

 しかし科学系メディア「Live Science」の記事によれば、MONDは宇宙の失われた質量のすべてを説明できないため、ダークマターの考えを完全に排除することはできなという。また他の研究ではMONDを量子力学や相対性理論と調和させるのは今のところかなりの無理があるということだ。

 プラネット・ナイン仮説の共同提案者であるカリフォルニア工科大学の天文学者マイケル・ブラウン氏は「私たちがプラネット・ナインだと思っていたものが、実は新しい物理学だったという考えはとてもうれしい」と前置きしつつも「しかし(これが真実である可能性は)低いのではないかと思います。おそらくそれは普通の惑星です」と同メディアの質問に回答している。

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画像は「Pixabay」より

 また近年浮上しているプラネット・ナインの別の説明はMONDのほかにもあり、一部の専門家はプラネット・ナインは実際には周囲の物体を内側に引き込んでいる“ミニブラックホール”であると提案している。

 しかし、MONDがプラネット・ナインの謎に対する答えであるかどうかにかかわらず、研究チームは、この概念が私たちの近傍宇宙をより深く理解する上で重要な役割を果たすと信じている。

「結果に関係なく、この研究は、太陽系の外側の重力をテストし、物理学の基本的な問題を研究するための実験室として機能する可能性を強調しています」と研究チームのハミルトン大学の理論物理学者、キャサリン・ブラウン氏は声明で述べている。

 天文学においてダークマターは実に厄介な問題だが、MONDをはじめとする新たなアプローチには前向きであるべきなのだろう。解明を進めるほどに謎も膨らむ宇宙だが、“朗報”としては来年には口径8.4mの可視光赤外線望遠鏡を擁するベラ・ルービン天文台の本格稼働予定が予定されている。近く新時代を迎えるといっても過言ではない天文学研究に期待はさらに高まる。

参考:「Live Science」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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