古神道の重大奥義「鎮魂帰神法」とは? 霊を取り込み、憑依し…

明治時代の神道家・本田親徳(ちかあつ)は、国学者平田篤胤によって提唱された古神道復興の流れをくむ霊学者であった。平田の霊の研究からさらに一歩踏み込み、神々との対話によって神の世界を探究するという領域を位置づけた人物でもある。古神道の行法「鎮魂帰神(ちんこんきしん)法」を復興し体系化したことでも知られ、その独自の探究と成果は総じて本田霊学と呼ばれている。
この鎮魂帰神法は、そもそも「鎮魂法」と「帰神法」とに区分される。鎮魂法は、古神道で最も重視される行法の一つであり、霊魂に力を与え体内に留める奥義とされている。帰神法とは、肉体に神を乗り移らせるいわゆる神懸かりとも呼ばれる究極の行法である。本田によると、鎮魂法に引き続いて行うべき行法として帰神法が位置付けられているため、これらを一括して鎮魂帰神法と称されている。
鎮魂帰神法は、霊魂の取り込みや憑依を行なう行法ではあるが単に霊を降ろすものではない。降ろした霊と問答を交わすことによって性質を見極め、邪霊や悪霊と判断されれば改心させて善霊に変化させることを目的としている。憑依した霊を善霊に変化させることによって、憑依された本人自身の性質も向上するといわれているのだ。これら鎮魂帰神法を含めた本田の霊学は、神道家・長沢雄楯(かつたて)に継承されたが、のちにこの鎮魂帰神法の免除を得て継承者となったのが出口王仁三郎であった。
王仁三郎は鎮魂帰神法を得意とし、この行法は大本における多くの信者の獲得にもつながった。特に、英文学者でありラフカディオ・ハーンの弟子でもあった浅野和三郎が入信したことによって、鎮魂帰神法は布教のため積極的に行なわれるようになった。この行法は、関心を持った多くの文化人・知識人といったいわゆる大本研究者たちが訪れ実践し体験したと言われている。しかし、憑依によって言動が激しくなったり、実修によって精神に異常をきたす者が続出したり、といったように大本の規模が拡大する一方で邪教という非難が起こり始めた。鎮魂帰神法は王仁三郎によってその後原則的に廃止されたという。
因みに、この鎮魂帰神法は大きく3通りの方法があり、特に重要視されたのは、憑依される者と憑依した霊を見分ける審神者(さにわ)が対座して行なう「他感法」であるという。この審神者は、本田霊学で本格的に位置づけられた存在であり、大本を含め他の教団や神道研究においても重大な意味を持つ存在となった。審神者は憑依した神霊に対してさまざまな質問を行ない、判定しなければならない。要するに、神典や古学に通じる博識を持つ者でなければ審神者は務まらないのだ。特別な能力や資質をもった者でなければ無意味・危険であるとして制御した王仁三郎ではあるが、宣教の手段として利用したことに対する神霊のしっぺ返しをくらってしまったのかもしれない。
参考:『日本神人伝』(不二龍彦)ほか
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