「時間は流れていない、未来は決定している」時間の真理を解き明かす“ブロック宇宙論”がヤバい! タイムトラベルも解説!

 時間は矢のように一方向に流れているように感じられる。未来を覗き見ることはできず、過去に再び訪れることもできないように感じられる。日々の全ての瞬間は自らの死に向かって進んでいるように感じられる。これが月並みな時間経験というものだろう。しかし、これから紹介する理論では、過去・現在・未来が全て同時に実在し、時間は流れ去らないと考えることもできるという。

GentyによるPixabayからの画像


■ブロック宇宙論

「ブロック宇宙論」では、宇宙は4次元時空のブロックとして見られ、全ての出来事はその中にすっかり納まっていると考えられている。豪「ABC NEWS」(9月23日付)の記事で、シドニー大学哲学科のクリスティ・ミラー准教授が詳しく説明している。

 ブロック宇宙論で考えられているブロックは、長さ、高さ、幅からなる3つの空間次元に、時間を加えたもの。ミラー准教授によれば、立方体の長さを時間に置き換えたようなものだとイメージすればよいという。この辺の一方の端が宇宙の始まりであるビッグバンで、もう片方の端が宇宙の終焉であるビッグクランチになるわけだから、この立方体には宇宙の全てが詰まっている。

「時間は流れていない、未来は決定している」時間の真理を解き明かすブロック宇宙論がヤバい! タイムトラベルも解説!の画像2画像は「ABC News」より引用

 するとどうだろう。過去はすでに過ぎ去り存在せず、未来はまだやって来ていないから存在しないはずであるが、ブロック宇宙論からみれば、それらは全てブロックの中に実在しているということになるのだ。

 しかし、ブロック宇宙論はあまりにも常識とかけ離れ過ぎているため、ややもすれば机上の空論のように響くだろう。「そう言おうと思えば言える」だけで、何ら実際的な根拠がないように思う読者もいるかもしれない。

 だが、実はブロック宇宙論はアインシュタインの相対性理論と深い関係があり、決して無意味な思弁ではないのだ。相対性理論は時間と空間が単独ではなく、統一的に絡み合った「時空連続体」であるとした。そして、特殊相対性理論を定式化したミンコフスキー空間(時空)では、時間を空間的に表現することができる。ここから生まれた時間論が、ブロック宇宙論なのだ。相対性理論が宇宙の真理を表しているならば、そこから生まれたブロック宇宙論も時間の真理に触れているはずである。

■タイムトラベルは可能!

「時間は流れていない、未来は決定している」時間の真理を解き明かすブロック宇宙論がヤバい! タイムトラベルも解説!の画像3画像は「ABC News」より引用

 先述したようにブロック宇宙論では、時間が空間的に扱われ、過去も未来も存在し続けると考えられている。では、我々が空間を移動してコンビニに買い物に行くように、ブロック宇宙を動き回ることができれば、タイムトラベルできるということだろうか?

 ミラー准教授の答えは「YES」だ。

 もちろん、空間を移動するように簡単に時間を移動することは技術的にまだ不可能だが、理論的には間違いなく可能だという。これはブロック宇宙論に限らず、これまで知られているように、少なくとも光の速さに近い速度で動くことができれば、未来へのタイムトラベルはできると言われていることからも分かるだろう。

 では、過去へのタイムトラベルはどうだろうか? ブロック宇宙論では過去へのタイムトラベルも理論的には可能であり、ワームホールなどの特異点を通ることで、それは実現できるという。しかし、過去を改変することだけは不可能だという。どういうことだろうか?

「(過去に行った)私は過去を変えることはできません。明日コーンフレークじゃなくてトーストを食べるとしても、それで未来が変わるわけではありません。私はただあるがままの未来を作っているだけなのです。過去にタイムトラベルしてもそれは変わりません。あるがままの過去を作るだけなのです」(ミラー教授)

「時間は流れていない、未来は決定している」時間の真理を解き明かすブロック宇宙論がヤバい! タイムトラベルも解説!の画像4画像は「ABC News」より引用

 補足しよう。ブロック宇宙論では、過去・現在・未来がすでに存在しているとする。だとすれば、そこには時間の流れに伴う変化、因果関係などは存在しない。ありのままの過去・現在・未来がただそこに存在しているだけだからである。過去を変えるということは変化や因果関係を認めた上でしかありえないため、ブロック宇宙論の前提からして過去の改変はナンセンスなのだ。

 なんだか、自分が決めたルールに自分で従い、自らを不利な状況に追いやるような気持ち悪さがあるが、ここでもう一度思い出して欲しい。ブロック宇宙論は相対性理論から生まれた時間論なのだ。だとすれば、この気持ち悪さも含めて時間の真理だと思って飲み込むしかない。

 とはいえ、トカナでお伝えしてきたように相対性理論に疑問を投げかける物理学者も少なくない。相対性理論が乗り越えられた時には、我々の時間理解も根本的に変更されるはずだ。全ての常識を根底から覆すような新理論の登場を待ちたい。

参考:「ABC News」、「Big Think」、ほか

TOCANA編集部

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