UFOや宇宙人に関する不可解な曲を書いたアメリカの歌手「ジム・サリバン」砂漠で謎の失踪を遂げる

 謎の失踪を遂げ行方不明になったミュージシャンは“エイリアン・アブダクション”の被害者だったのか――。行方不明となった彼のデビューアルバムのタイトルは『U.F.O.』であった。

■行方不明になったミュージシャン

 アメリカのシンガーソングライター、ジム・サリバン(1939-1975)は、2枚のアルバムをリリースした後、1975年3月にニューメキシコ州の砂漠で失踪した。

 ジム・サリバンは、1939年8月14日にアイルランド系アメリカ人の労働者の家族の7男として生まれた。第二次世界大戦中、一家はカリフォルニア州サンディエゴに移住した。ジムはギターを習得し、高校ではフットボールチームのクォーターバックとしても活躍していた。

 ジムは大学在学中に結婚し、友人とバーの経営をはじめたが、最終的に事業は失敗した。

 ギター演奏に長けていたこともあり、ジムは1960年代半ばから音楽活動をはじめ、1968年、彼は妻のバーバラと幼い息子のクリスとともにロサンゼルスに移住した。

ジム・サリバン 「Howandwhys」の記事より

 ジムは当時のヒッピー文化を色濃く反映し一世を風靡したロードムービー『イージー・ライダー』にエキストラで出演してデニス・ホッパーと親しくなり、エンターテインメントの世界への足掛かりをつかんだ。

 1969年のデビュー・アルバム『U.F.O.』に続き、1972年に2枚目のアルバム『ジム・サリバン』をリリースした。

 しかしこの頃からジムは深酒をするようになり、夫婦間にも問題を抱えるようになった。

 1975年3月4日、ジムは愛車のフォルクスワーゲン・ビートルに荷物を積み、ロサンゼルスを出てナッシュビルに向かった。彼はナッシュビルに少し滞在してから家に戻ると家族に伝えていた。

 ロサンゼルスを出た後、ジムはニューメキシコ州サンタローザのモーテルにチェックインした。その直後に再び車で出ていったが最後、モーテルに戻って来ることはなかった。

 報道によると、鍵は部屋に残されたままで、ベッドを使った痕跡はなかった。なぜ彼がモーテルの部屋を借りて、そこに泊まらずに出ていったのか。翌日、近くの牧場で彼の車が放置されているのが発見された。車の中には紙幣、衣類、売れ残ったレコード、そしてギターが残されていた。

 すぐに捜索が行われ、現場近くで腐乱死体が発見されたのだが検死によってそれはジムではないことが確認された。

 彼は殺害されたか、道に迷って砂漠で行き倒れたと考える者もいた。彼は自発的に失踪した可能性を指摘する声もあり、あるいは“エイリアン・アブダクション”を疑う見解も取り沙汰されるようになった。

妻のバーバラのノート(左)、地元新聞の記事(右) 「Howandwhys」の記事より

■UFOブームは音楽にも影響を及ぼしていた

 ヒッピー文化が全盛の当時、ニューエイジ思想やオカルトなども支持を集めており、1961年の「ヒル夫妻誘拐事件」を皮切りに“エイリアン・アブダクション”の話題もテレビや雑誌など多くのメディアが取りあげて注目を集めていた。

 そうしたサブカルチャーの影響は一部の音楽にも及んでいた。

 アメリカのロックバンド、バーズ(The Byrds)は1966年に『ミスター・スペースマン(Mr.Spaceman)』という曲で毎晩訪れる見知らぬ人々との出会いについて歌っている。

 1969年、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルは『イット・カム・フロム・ザ・スカイ』という曲で空からやってくる“何か”について歌った。

 ピンク・フロイドのセカンド・アルバム『A Saucerful of Secrets』(邦題:『神秘』)のジャケットには空飛ぶ円盤を彷彿させるイメージも加味されている。

 デヴィッド・ボウイが1969年に発表した楽曲『Space Oddity(スペイス・オディティ)』では宇宙とエイリアンがモチーフとなっている。

ジム・サリバン 「Howandwhys」の記事より

 そしてジム・サリバンの楽曲『U.F.O.』では、高速道路での運転、宇宙人、アリゾナのゴーストタウン、死に際に「とても自然に」見えた男のことなどが歌われている。この楽曲をジム・サリバンの謎の失踪と結びつけてみたくもなるだろう。

 ジムの友人によると、彼はギターを持たずに出かけることはまずなかったという。それを考慮すると、放棄された車の中にギターがあったのはやや不自然に映るかもしれない。

 その後もまったく手がかりがつかめないまま迷宮入りしてしまったジム・サリバンの行方不明事件だが、これから何か新たな証拠や証言がもたらされるとは考えにくい。真相は本人とエイリアンだけが知っているのだろうか。

参考:「Howandwhys」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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