大ピラミッドは灯台のように輝いていた!?古代エジプト人が見た“光のピラミッド”とは

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 古代エジプト文明の象徴であるギザのピラミッドは当時、太陽光を浴びて燦々と輝いていた――。当時のピラミッドの磨かれた壁面は特定の方向への鏡面反射を生成していた痕跡があり、エジプト暦の重要な日を示すために設計されていた可能性があるという。

■ピラミッドは光のスペクタクルを演出していた?

 エジプトのギザにある大ピラミッドは、今でこそゴツゴツしたブロック状の岩が積み上がった荒廃した建造物だが、エジプト文明の隆盛期のピラミッドは表面が白い石灰岩で覆われて鏡のように磨かれており、太陽光に照らされてまばゆく光り輝いていたといわれている。

「NASAゴダード・スペース・フライト・センター」の研究者、ドナルド・ジェニングス氏が2021年4月に「arXiv」で発表した研究では、ピラミッドは単に光り輝いていただけではなく、つまり特定の場所に向けられた鏡面反射も生成させており、エジプト暦の特定の時期に合わせたドラマチックな視覚的演出を生み出していたという興味深い理論を提示している。

 屈折率が1.6の滑らかな石灰岩は、鏡面方向に太陽光の最大5%を反射する可能性があり、これはガラス窓の反射に相当する。さらに反射効果を高めるために金メッキされていたともいわれているピラミッド頂上部のピラミディオン (キャップストーン) は太陽光の最大50%を反射し、はるかに強い光線を作り出した可能性があるのだ。

 これらの表面加工と研磨は、ほかのピラミッドで見つかった高度に磨かれた花崗岩のピラミディオンと同じく、古代エジプトの職人の優れた技能に裏打ちされたものだ。

 ジェニングス氏の計算によると、ピラミッドの研磨状態や大気の状態によっては、数十キロ離れた場所から反射が見えた可能性があり、これらの鏡面反射が発生する日付と時間が割り出されている。それは例えば以下の日付だ。

●2月6日と11月5日:ピラミッドの東面からの太陽光はヘリオポリスに向けられた。

●4月23日から5月5日、8月6日から8月中旬: 反射は南の地平線を横切り、メンフィスやその他の重要な場所を照らした可能性がある。

●春分と夏至:ユニークな反射が発生し、重要な太陽イベントが演出された。

 研究によるとこれらの日付は、クフ王の時代に春分の日と重なった新年のお祝いである「Wepet-Renpet(ウェペト・レンペト)」などの古代エジプトの祭りと一致している。

 またクフ王のピラミッド頂上のピラミディオンとカフラー王のピラミッドのピラミディオンの間が鏡面反射光で繋がり“天の絆”を象徴するスペクタクルな演出もあったことが推測されるという。

 古代エジプト文明のような太陽が宗教と政治と生活の中心であった文化では、このようなイベントと演出はファラオの神聖な仲介者としての地位を強化したはずであり、太陽光、ピラミッド、主要な文化遺産を結びつけることで、これらの反射は天体からの信号として認識され、物質界と精神界を結びつける象徴として機能していた可能性もあるということだ。

 その緻密な設計と壮大なスケールに加え、ピラミッドは古代エジプトの人々の生活文化を大胆に彩り、太陽暦の重要な瞬間を示す光線を放ち、人々を神と結びつける重要なモニュメントであったとすれば、いくつもの魅力的な想像が膨らみそうだ。

参考:「Curiosmos」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
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