【闇深】陰謀か?事故か?天才発明家たちの“不可解な死”の数々

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 歴史は人類の進歩を推し進めた天才たちの功績で彩られている。しかし、中にはその輝かしい業績の後に、不可解で謎めいた死を迎えた発明家も少なくない。彼らの死は、革新的な発明が原因で命を狙われたのか、それとも単なる不運な事故だったのか。 今回紹介する10人の天才発明家たちは、歴史に偉大な足跡を残すと同時に、その死の真相に多くの疑問を残している。

【1】映画の父、ルイ・ル・プランス:謎の失踪事件

ルイ・ル・プランス 画像は「Wikipedia」より

 19世紀後半、ルイ・ル・プランスは、トーマス・エジソンに先駆けて動画技術を発明し、娯楽の世界に革命を起こそうとしていた。1888年には、歴史上初の動画とされる「ラウンドヘイの庭の場面」の撮影に成功。1890年には、アメリカで発明を公開する準備を進めていた矢先、ディジョンからパリへの列車移動中に謎の失踪を遂げた。遺体はもちろん、所持品も見つからず、彼の功績はエジソンの影に隠れてしまうことになった。

 失踪の真相については、エジソンが競争相手を排除するために関与したという説、家族間の内紛が原因とする説、産業スパイが貴重な技術を奪おうとしたとする説など、様々な憶測が飛び交っている。映画界の覇権争いが、ル・プランスの運命を狂わせたのかもしれない。

【2】ディーゼルエンジンの父、ルドルフ・ディーゼル:海上で消えた天才

ルドルフ・ディーゼル 画像は「Wikipedia」より

 ルドルフ・ディーゼルは、ディーゼルエンジンの発明で知られる。蒸気機関に代わる画期的な動力源として期待されたディーゼルエンジンは、世界の産業構造を大きく変える可能性を秘めていた。そして、ディーゼルは1913年、SSドレスデン号での航海の途中で謎の失踪を遂げた。彼は夕食後、自分の客室に戻ったのを最後に姿を消した。数日後、北海でディーゼルと思われる腐乱死体が発見された。

 ディーゼルの死は自殺と言われているが、他にも石油会社が自社の利益を守るために暗殺したという説、ディーゼルエンジンが海軍力のバランスを変える可能性を恐れたライバル国が関与したという説、多額の借金を抱えていたディーゼルが失踪を偽装したという説など、様々な憶測が飛び交っている。

【3】若返りを夢見た男、アレクサンドル・ボグダーノフ:輸血実験の悲劇

アレクサンドル・ボグダーノフ 画像は「Wikipedia」より

 ロシアの医師であり革命家でもあったアレクサンドル・ボグダーノフは、輸血による若返り、老化の逆転、そして寿命の延長を信じていた。1928年、彼はマラリアと結核に感染していた学生から輸血を受けた。数日後、ボグダーノフは病に倒れ、帰らぬ人となった。公式には輸血による感染が死因とされているが、政治的ライバルによる意図的な妨害や、彼の研究を危険視した医学界からの圧力があったとする説も存在する。

【4】水銀の危険性を訴えた化学者、カレン・ヴェッターハーン:防護服を貫通した猛毒

 カレン・ヴェッターハーンは、重金属の人体への影響に関する研究で著名な化学者・毒物学者だ。1996年、彼女は実験中にジメチル水銀を数滴、手袋にこぼしてしまった。安全プロトコルを遵守していたにもかかわらず、ジメチル水銀はラテックス製の手袋を透過し、彼女の皮膚に吸収された。数ヶ月後、ウェッターハンは神経学的症状を発症し、1年以内に昏睡状態に陥り、死亡した。公式には事故死とされているが、彼女の研究が水銀の使用規制強化につながる可能性があり、水銀に依存する産業界からの妨害があったという説や、実験室への工作が行われたという説もある。

【5】有鉛ガソリンを発明した男、トーマス・ミジリー・ジュニア:自らの発明品に命を奪われる

トーマス・ミジリー・ジュニア 画像は「Wikipedia」より

 トーマス・ミジリー・ジュニアは、有鉛ガソリンとフロンガスという、20世紀で最も物議を醸した2つの発明で知られる。これらの発明は当初、その実用性で称賛されたが、長期的な環境と健康への影響は深刻なものだった。晩年、ポリオに感染して麻痺したミジリーは、ベッドから起き上がるための滑車とロープのシステムを考案した。1944年、彼はこの装置に絡まって窒息死しているのが発見された。公式には事故死とされているが、彼の発明に対する批判が高まっていた時期だったこともあり、企業の陰謀によって殺害されたという説もある。

【6】ユージーン・マローブ:常温核融合の封じられた夢

 常温核融合の可能性を提唱した科学者ユージーン・マローブは、エネルギー革命の先駆者とされていた。常温核融合は、太陽の核反応を室温で再現し、無限のクリーンエネルギーを生み出す技術として期待された。しかし、1989年の発表後、科学界から「非現実的」として強い批判を受けた。

 マローブはMITを辞職し、研究を擁護するために精力的に活動。だが2004年、彼は幼少期の家で暴行を受け死亡。事件は家賃を巡るトラブルとされたが、常温核融合を巡る利害関係者による暗殺説が根強い。彼の死は、常温核融合研究の停滞を象徴する事件とされている。

【7】ギルバート・ルイス:ノーベル賞に愛されなかった天才

 化学結合の基礎を築いたギルバート・ルイスは、生涯41回ものノーベル賞候補に挙がりながら一度も受賞することはなかった。ライバルのアーヴィング・ラングミュアが賞を受けた際には、ルイスの研究を基盤にしていたと指摘され、学会内の政治的圧力がささやかれた。

 1946年、ルイスはシアン化水素を扱う実験中に死去。その状況から事故とされたが、競争の激しい学界での恨みが関与していたのではないかとも言われている。彼の死は、科学の栄光と影を浮き彫りにした。

【8】ボリス・ヴァイスファイラー:チリで消えた数学者

 数学者ボリス・ヴァイスファイラーは、1985年にチリの秘境で行方不明となった。現地の「コロニア・ディグニダ」という謎のドイツ人居住地が彼の失踪に関与している可能性が高い。居住地は当時のチリ独裁政権と結びつき、人権侵害や武器取引が行われていたとされる。

 CIAの機密文書では、ヴァイスファイラーがスパイ容疑で拘束され拷問を受けた可能性が示唆されている。彼の数学研究が軍事用途に利用できるとされたことが悲劇を招いたのではないかとの推測もある。

【9】ゲオルク・ヴィルヘルム・リヒマン:雷に撃たれた科学の先駆者

球雷に撃たれたゲオルク・リヒマン 画像は「Wikipedia」より

 1753年、リヒマンは雷の電気エネルギーを測定しようと実験を行っていた。その際、落雷によって命を落とした彼は、科学実験中に亡くなった最初期の記録的な人物とされている。

 当時、雷は「神の怒り」と見なされ、リヒマンの実験は宗教的な反発を招いていた。彼の死を事故とする見方が一般的だが、科学に対する反感から計画的に仕組まれた可能性も一部で議論されている。

【10】ロイヤル・レイモンド・ライフ:抹消されたガン治療の発明?

 20世紀初頭、ロイヤル・レイモンド・ライフは「ライフ装置」と呼ばれる電磁波技術を用いて、病原体を破壊し健康を回復させる装置を開発した。彼はこれを使い、ガンを含む多くの病気を治療したと主張した。しかし、この行為は医療界や製薬業界の反発を招いた。

 ライフの研究所は謎の破壊行為に遭い、研究データの多くが失われた。彼の死因はアルコール依存症とされたが、彼の革新的な技術が封じられた背景には、医療業界の利益が絡んでいる可能性がある。

 歴史に名を残す天才たちの死には、数多くの謎が残されている。偶然の事故か、それとも陰謀か。真相は闇の中だが、彼らの功績と、その死をめぐる議論は今もなお人々の心を掴んで離さない。

参考:Listverse、Wikipedia、ほか

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