【未解決】14歳少女の死後、残された家族が次々死亡・・・「悲劇の余韻」に呑み込まれた一家

英ロンドン北西部ケンサル・グリーン近くを流れるグランド・ユニオン運河で1992年2月1日、凍てつく水の中から当時14歳の女子学生、トレーシー・ミードの遺体が発見された。この事件がきっかけでトレーシーの家族は悲惨な運命をたどることとなった。トレーシーの妹、エマ・ペトルーさん(41)が英紙「The Sun」に語った。
トレーシーの死因は溺死だったが、腕と腹の2カ所をナイフで刺されていた。着ていた衣服の一部しか身につけておらず、他の服は運河沿いの土手で発見された。性的暴行の痕跡はなかったものの、警察は事件の背後に性的な動機があったと考えた。
トレーシーが行方不明となったのは遺体発見の約2週間前だった。1月20日、トレーシーはロンドン西部ノース・ケンジントンにある祖母の家で1日を過ごした後、午後5時30分頃にエマさんを母親の住むアパートへ連れて行った。その後、翌日学校へ行くために必要なバス代の2ポンドを母親からもらい、午後7時頃に「さようなら」と言ってアパートを出た。トレーシーはこの日の夜、叔母と過ごす予定だったのだ。しかし、トレーシーは叔母の家を訪れず、翌日は学校にも姿を見せなかった。

1月22日、母親がトレーシーの行方不明届を出したが、警察がまともに取り合ってくれないことに不満を抱き、自ら地元周辺で娘を探し始めた。トレーシーが橋の近くで男性と口論しているのを見たという目撃証言があった。1月31日にはトレーシーによく似た女性が通行人にカフェへの道順を尋ね、「ボーイフレンドに会うつもりだ」と言った。同日午後4時30分頃、彼女と黒髪の女性の2人がゴールドホーク・ロードにあるカフェに入ったのが確認されている。そして翌日、トレーシーは遺体となって発見された。
警察の捜査やマスコミの報道にもかかわらず、トレーシーの死の真相は解明されず、現在まで誰一人として逮捕されていない。未解決事件に迫るBBCの報道番組「Crimewatch」で取り上げられたが、全く進展がなかった。

警察は、トレーシーが殺害前に顔見知りの人たちと一緒に運河の近くにいたと考えている。1992年12月の死因審問では、トレーシーは脅迫されて服を脱いだ後、運河に突き落とされたか、逃げようとして自ら運河に入ったかのいずれかだろうと推測された。エマさんも、姉が見ず知らずの人と一緒に危険な場所へ行くほど「愚かな女の子ではなかった」と語る。

トレーシーの死後、彼女の家族は悲劇の余韻によって破滅へと向かっていった。父親のポール・ペトルーさんは、悲しみのあまり麻薬に溺れ、45歳で自らの命を断った。エマさんの母親のデニスさんも麻薬を使用し続け、最後には肺がんで死亡した。トレーシーの母親(ポールの前妻)のキム・ミードも2015年に亡くなっている。2020年7月には、エマさんの弟であるピーター・ペトルーさん(当時37)が刺殺された。
「トレーシーの殺害後、私たちの生活は恐ろしいものとなりました。負のスパイラルは信じられないほどです。父は麻薬に溺れ、父と一緒に麻薬を吸っていた母は50歳のときに肺がんで亡くなりました。ピーターを失ったとき、私は壊れかけました。まるで戦いが終わった後のように。私はトレーシーが安らかに眠れないことに対して罪悪感を抱いています。父も母も祖母も、そしてトレーシーを知っている他の誰もが、安らかに眠らせてあげられないのです」
このように語るエマさんもまた、壊れゆく家族の中で苦しんだ。エマさんは両親から暴力を振るわれたり、外出を禁止されたりすることもあった。誕生日や記念日も苦痛でしかなくなった。クリスマスには、悲しみに打ちひしがれた父親が寝室に閉じこもってしまうほどだった。

エマさんは「トレーシーの死が忘れられかけている一方で、ピーターを殺した犯人が捕まったことに罪悪感を覚えます」と述べ、未解決事件が残された人々が人生を狂わせると訴えた。
未解決事件が人々の記憶から風化されつつあるとしても、警察は事件の真相究明を決して諦めてはいない。法医学の進歩によって新たな手掛かりが見つかるかもしれないからだ。遠くない将来、正義の実現のために30年間戦い続けてきたエマさんが罪悪感から解放される日が訪れるに違いない。
参考:「The Sun」、「scepticpeg」、「murdermap」、ほか
※当記事は2022年の記事を再編集して掲載しています。
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2024.10.02 20:00心霊【未解決】14歳少女の死後、残された家族が次々死亡・・・「悲劇の余韻」に呑み込まれた一家のページです。未解決事件などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで