“手つかずの秘境”は嘘だった?アマゾン、LiDARスキャンが暴いた「失われた都市」の衝撃

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イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

 どこまでも緑が続くアマゾンのジャングル。上空から見れば、人の手の入らない原生林が広がっているように見える。しかし、最新技術「LiDAR(ライダー)」がその厚い樹木のベールを取り払うと、そこには驚くべき光景が広がっていた。かつてアマゾンに栄え、そして森に飲み込まれた壮大な古代文明の痕跡だ。

「手つかずの秘境」という幻想:LiDARが覆す定説

 長年、アマゾンは「手つかずの秘境」と見なされてきた。ヨーロッパの探検家たちは、鬱蒼とした森と点在する小さな部族の姿を報告し、後の調査でも石造りの都市や文字記録といった文明の証は見つからなかった。熱帯雨林の痩せた土壌では大規模な農業は不可能で、ましてや密集した都市など築けるはずがない、というのが定説だったのだ。

 しかし、1500年代にはアマゾン川沿いに広大な町や道路を見たという探検家の記録も残っていたが、これらは長らく「空想」として片付けられてきた。

 この常識を覆したのがLiDAR技術だ。航空機からレーザーを照射し、地形を精密にマッピングするこの技術は、密林をも透過し、地表に隠された遺構を明らかにする。このツールによってアマゾン考古学は革命的な進展を遂げた。

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LiDARが暴いた驚くべき遺構群:計画都市の発見

 ここ10年ほどで、ブラジル、ボリビア、ペルーの研究チームがLiDARを用いてアマゾン流域をスキャンし、衝撃的な発見が相次いでいる。ブラジル西部アクレ州では、土を盛り上げて作られた450以上の巨大な幾何学模様「ジオグリフ」が確認された。多くは長い直線的な道で結ばれ、手つかずの森林の下にも存在することがLiDARによって証明されたのだ。

 さらに南、ボリビアのベニ県では、2022年に学術誌「ネイチャー」で、カサラベ文化(西暦500年~1400年頃)に属する20以上の集落跡が森林下から発見されたと報告された。スキャン画像には、巨大なマウンド(墳丘)、基壇状の建造物群、中央広場、そして数キロにわたり集落間を結ぶ土手道が映し出されていた。中には高さ20メートルを超えるマウンドもあり、防御用の堀や運河で囲まれていたという。これらは、アマゾンでこれまで記録されたことのない高度な計画性と建設技術の存在を示している。

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 ペルー東部のウカヤリ川流域でも同様の発見があり、高床式の畑や運河、養魚池のネットワークは、長期的な人間の居住と土地管理の確かな証拠だ。考古学者たちがアマゾンで発見しているのは、孤立した村々ではなく、持続的な人間の努力によって形成された広大なネットワークと景観なのである。かつて永住には不向きと考えられていた地域で、都市や道路、農業システムを構築していた古代文明の姿が、今、明らかになりつつある。

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カサラベ文化の「森の都市」とアマゾン流域に広がる文明の痕跡

 ボリビア低地のヤノス・デ・モホスは、季節的な洪水に見舞われるため定住は困難と考えられていた。しかし、LiDARはここにカサラベ文化の「森の都市」が隠されていたことを明らかにした。土と木材で築かれたこれらの都市は、階層状のマウンド、広大な広場、高床式の土手道、大規模な貯水池などを備え、計画的に建設されたものだった。道路は最大10キロも直線的に延び、防御用の堀が集落を囲んでいた。最大の遺跡は100ヘクタール以上に及び、数万人が暮らしていた可能性も指摘されている。

 アマゾン流域の過去の居住を示すもう一つの重要な手がかりが、「テラ・プレタ(黒い土)」だ。これは、自然の土壌とは異なり、木炭や有機物を豊富に含む肥沃な土壌で、長期間にわたる人為的な土壌改良によって作られたと考えられている。テラ・プレタの存在は、アマゾンでの持続的な農業が可能であったことを示唆している。

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文明の崩壊と森への回帰、そして未来への課題

 これらの高度な文明は、なぜ森に飲み込まれてしまったのか。16世紀のヨーロッパ人到来後、彼らが持ち込んだ天然痘などの感染症が、アマゾン奥地の先住民社会に壊滅的な打撃を与えた。免疫を持たない人々は急速に減少し、人口の激減とともに、築き上げられたインフラも維持できなくなった。道路は途絶え、農地は放棄され、壮大な建造物群は徐々に植生に覆われていった。石造りの建築物や文字記録がほとんど残らなかったため、後の探検家たちは、そこにかつて文明が栄えていたことを見抜くことができなかったのだ。

 アマゾンで発見されている古代文明の痕跡は、石造建築を重視してきた従来の文明観に一石を投じるものだ。土と木を巧みに利用し、広大な地域に計画的な都市や水利システムを築き上げた人々の存在は、文明の多様性を示している。

 しかし、この貴重な発見は時間との戦いでもある。アマゾンのLiDARマッピングは、まだ全体の0.1%にも満たない。その一方で、森林伐採は急速に進んでおり、未発見の遺跡が調査される前に破壊されてしまう危険性が高まっている。アマゾンに眠る失われた文明の全貌解明は、まだ始まったばかりなのだ。

参考:Curiosmos、ほか

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