事故で一夜にして“天才画家に変貌”した男!後天的「サヴァン症候群」実例とは

事故で一夜にして“天才画家に変貌”した男!後天的「サヴァン症候群」実例とはの画像1
Image by Gerd Altmann from Pixabay

 アートや音楽、数学などごく限られた特定の分野で神がかり的な才能を発揮する「サヴァン症候群」の人々はきわめてレアな存在だが、さらにまれなケースとして、ある出来事をきっかけにして後天的にサヴァン症候群になる人々がいる。最近のケースでは交通事故で脳に深刻なダメージを負った後に絵画の才能が開花し、サヴァン症候群と診断された例である。

■交通事故後、うつと不安に悩まされる

 これまでの人生とは何もかもがまったく違う“第二の人生”を送りたいと思ったことはあるだろうか。米ノースカロライナ州ウィルミントン在住のスコット・メレ氏は、交通事故をきっかけにそれまでの人生観がガラリと変わるとともにアートの才能が芽生え、半ば否応なく“第二の人生”に踏み出したという類いまれな人物である。

 2015年のある日、地元の街で車を走らせていたメレ氏(当時38歳)は交差点に差しかかったところで、時速110キロの猛スピードで走ってきた車と激しく衝突。

 衝撃で頭を強打したものの一命を取りとめたメレ氏は、その4カ月後には事故のダメージから回復した。身体的には以前の状態に戻りつつあったメレ氏だったが、どういうわけかメンタルヘルスは最悪の状態で、うつと不安障害に苛まれることになった。

事故で一夜にして“天才画家に変貌”した男!後天的「サヴァン症候群」実例とはの画像2
「Daily Mail」の記事より

 何が彼を悩ませていたのか? 彼は自分が自分ではないような感覚に襲われていたのである。

「自分自身に対して完全に疎遠になりました。私は別の誰かの人生を送っているように感じ、どこかに閉じ込められている気分になっていました」(メレ氏)

 事故当時、自動車のセールスマンであったメレ氏の人生の目標は、仕事で成功し、物質的に豊かな生活を送ることであった。

「ほかの人のことは気にしないというのがそれまでの私の人生でした。私には友人があまりいませんでした。繰り返しますが、私はほかの誰も気にしていませんでした。しかしこの事故があってから、それは完全にひっくり返されました。それまでの私は死んでしまいました。昔の私とはもう関係がないので、第二の人生をスタートできるチャンスを得たのです」(メレ氏)

 第二の人生を始められるチャンスであると同時に、それはこれまでの生き方に深い疑問を投げかけることにもなり、その結果、メレ氏はうつと不安障害に悩まされることになったのだ。

■100万人に1人の「非定型後天性サヴァン症候群」

 メンタルの悪化に悩む事故後のメレ氏であったが、“転機”が訪れるのはそう遠くはなかった。

 ある日、子どもたちを連れてホームセンターに行ったメレ氏だったが、偶然に絵画用品売り場に差しかかった時、自分でもまったく意外なことにそこで足が止まったのだ。油絵の道具を見た時、驚くべきことに絵を描きたい衝動が湧いてきて、勢いそのままに絵筆や絵の具などの道具を一式購入したのである。ちなみにそれまでのメレ氏には絵心はまったくなく、絵筆を持ったことすらなかった。

「事故の前の私は絵など描けたものではありませんでした。しかし事故後4カ月ぶりに、私は自分と関係のあるものを見たのです。それ(絵の道具)は私に属するものであると感じました」(メレ氏)

 その後は一心不乱に絵を描き続ける日々を送ることになる。自分でも不思議なくらい絵筆は自由闊達にキャンバスの上を駆け巡り、次々と作品を仕上げていったのだ。メレ氏の作品はいずれも素晴らしい出来栄えで、芸術的価値のあるものだとされている。

事故で一夜にして“天才画家に変貌”した男!後天的「サヴァン症候群」実例とはの画像3
「Daily Mail」の記事より

 突然芽生えた絵の才能をいかんなく発揮するメレ氏は、専門家から「非定型後天性サヴァン症候群(atypical acquired savant syndrome)」であるとされた。100万人に1人の症例であるという後天性のサヴァン症候群とは、自閉症または頭部損傷状態の人がある日突然、アートや音楽、数学といった分野で才能を開花させるきわめてレアな現象である。男性が多く、わかっているだけで2020年時点で世界中で33人が非定型後天性サヴァン症候群と診断されている。

 非定型後天性サヴァン症候群がどのように発症するのかまだよくわかってはいないのだが、専門家によればめったに現れない症状ではあるものの、すべての人間に備わっている潜在能力であることを示唆している。

事故で一夜にして“天才画家に変貌”した男!後天的「サヴァン症候群」実例とはの画像4
「Daily Mail」の記事より

「私は今42歳ですが、38歳で再出発しました」とメイ氏は語る。今ではセールスマンの仕事を完全に辞め、創作活動に専念しているということだ。事故をきっかけに驚異的な才能が開花し、それまでとはまったく異なる“第二の人生”に踏み出したメイ氏が、今後どのような活躍を見せてくれるのか注目したい。

参考:「Daily Mail」、「WECT」、ほか

 

※当記事は2020年の記事を再編集して掲載しています。

関連キーワード:, ,
TOCANA編集部

TOCANA/トカナ|UFO、UMA、心霊、予言など好奇心を刺激するオカルトニュースメディア
Twitter: @DailyTocana
Instagram: tocanagram
Facebook: tocana.web
YouTube: TOCANAチャンネル

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.02 20:00心霊

事故で一夜にして“天才画家に変貌”した男!後天的「サヴァン症候群」実例とはのページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

人気記事ランキング17:35更新