29年の時を超えたSOS… 1969年のハイウェイに迷い込み、忽然と消えた「1940年の母子」のミステリー

これは、アメリカの超常現象雑誌『Strange Magazine』に掲載された、背筋が少し凍るような実話である。目撃者とされる人物は亡くなる直前まで、この話が紛れもない真実だと主張し続けたという。
1969年10月20日、アメリカ・ルイジアナ州。ビジネスパートナーのチャーリーが運転する車に乗り、ラファイエット市へ向かっていたL.K.氏は、忘れられない光景に遭遇することになる。
高速道路に現れた「1940年」
その日の天気は、少し肌寒いだけの穏やかな秋晴れだった。交通量の少ない高速道路を快調に走っていると、前方にひどくゆっくりと進む一台の大きな車が見えてきた。
あっという間に追いついてみると、それはどう見ても第二次世界大戦前のものと思われる非常に古いモデルの車だった。しかし奇妙なことに、これほどの年代物でありながら、まるで新品のような輝きを放っている。ナンバープレートには、はっきりと「1940」という年号が刻まれていた。
好奇心をそそられたチャーリーが速度を落として横に並ぶと、さらに奇妙な光景が目に飛び込んできた。運転席には若い女性が、助手席には小さな女の子が座っている。二人の服装は、毛皮の襟が付いた分厚いコートに、羽飾りのついた帽子…まるで戦前のモノクロ映画から抜け出してきたかのようだった。1969年のアメリカでは、まず見ることのない時代錯誤な装い。そして何より、当日の気候にしては明らかに厚着すぎる、まるで真冬のような格好だった。

助けを求める怯えた女性
L.K.氏が女性の顔に目をやると、彼女はひどく怯え、パニックに陥っているように見えた。絶望的な表情で何度もあたりを見回し、まるで助けを求めるかのように必死に何かを探している。その顔は今にも泣き出しそうだった。
見かねたL.K.氏が「大丈夫ですか、何かお困りですか?」と声をかけると、女性はこくりと頷いた。「路肩に車を停めてください」。そう促すと、女性もゆっくりとブレーキを踏み始めた。
目の前で起きた「蒸発」、そして第三の目撃者
L.K.氏たちの車が少し前に出て路肩に停車し、振り返った、その瞬間だった。つい今まで後ろにいたはずのレトロカーが、跡形もなく消え失せていたのだ。隠れる場所などどこにもない、見通しの良い直線道路。まるで煙のように母子を乗せた車は忽然と姿を消してしまった。
二人が呆然としていると、一台の車が猛スピードで近づき、彼らの横に急停車した。興奮した様子のドライバーが車から飛び降りるなり、こう叫んだ。「あの車はどこへ消えたんだ!」
このドライバーは一部始終を後方から目撃していたのだ。L.K.氏たちの車が古い車に並走し、減速した直後にその古い車が忽然と消えるのを、はっきりと見たという。彼は事故が起きたのだと思い、慌てて駆けつけたのだった。

残された謎 ― 彼女はどこから来て、どこへ消えたのか
三人は車の破片ひとつ落ちていないことを確認し、その後1時間近くも周辺を歩き回って捜索したが、何の痕跡も見つけることはできなかった。まるで自分たちの正気が試されているようだ――。そう感じた三人は、連絡先を交換してその場を去った。
後年、彼らはこの出来事を振り返り、一つの結論に至った。あれは偶然起きた「タイムスリップ」だったのではないか、と。
1940年代の冬のある日、道を走っていた母子は、何かの拍子に時空の裂け目に迷い込み、29年後の未来、そして秋のルイジアナにほんのわずかな時間だけ現れてしまったのかもしれない。彼女にとって、それはきっと悪夢のような出来事だったに違いない。そして、助けを求めたその一瞬の後、彼女はまた、自らの時代へと戻っていったのだろうか。
目撃者たちが生涯忘れられなかったこの光景は、60年近く経つ今も語り継がれる奇妙な実話の一つである。
参考:strangemag.com、ほか
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2024.10.02 20:00心霊29年の時を超えたSOS… 1969年のハイウェイに迷い込み、忽然と消えた「1940年の母子」のミステリーのページです。タイムトラベルなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで