歴史上最も奇妙な「集団ヒステリー」7選 ― “猫のように鳴く修道女”から“笑いが止まらない村”まで

先日、ロンドンのヒースロー空港で発生した「危険物質騒ぎ」。20人が体調不良を訴えターミナルが一時閉鎖されたが、当初、警察はこの原因を「集団ヒステリー」と発表した(後に催涙スプレーの容疑で男が逮捕)。
集団ヒステリー、または集団心因性疾患とは、特定の集団内で科学的に説明のつかない身体的・精神的な症状が連鎖的に発生する現象を指す。ストレスや不安が引き金となり、暗示にかかったかのように症状が「伝染」していくのだ。
歴史を振り返ると、現代の我々には理解しがたい、奇妙で不可解な集団ヒステリー事件が数多く記録されている。ここでは、その中でも特に有名な7つの事例を紹介しよう。
1. 踊りのペスト(1518年)

1518年7月、現在のフランス・ストラスブールで、一人の女性が路上で突然、狂ったように踊り始めた。すると、その踊りは次々と人々に伝染。最終的には約400人が巻き込まれ、疲労で死に至る者まで出る中、彼らは何週間も踊り続けたという。そしてある日、その熱狂は始まった時と同じように、忽然と終わりを告げた。当時の飢饉による極度のストレスが原因ではないかと推測されている。
2. 噛みつき、猫のように鳴く修道女(中世)

中世ヨーロッパの修道院は、閉鎖的な環境からか、奇妙な集団ヒステリーの温床となった。ドイツのある修道院では、一人の修道女が仲間に噛みつき始めると、その行為が院内に蔓延。またフランスの別の修道院では、一人の修道女が猫のように「ニャー」と鳴き始めると、最終的には院内のすべての修道女が猫の鳴き真似をするという、不可解な事態に発展した。
3. ウィンドウ・ピッティング現象(1954年)

1954年、米国ワシントン州の町で、車のフロントガラスに奇妙な凹みができるという現象が報告され始めた。噂は瞬く間に広がり、水爆実験の放射性降下物や、酸を分泌する虫の仕業ではないかというパニックが巻き起こった。しかし、警察が調査したところ、それらの凹みのほとんどは、日常的な使用による単なる傷や摩耗であることが判明した。
4. 笑い病の流行(1962年)

1962年1月30日、タンザニアのある村の学校で、3人の少女が突然、制御不能な笑いに襲われた。この「笑い」は学校中に広がり、さらには親や近隣の村々にまで伝染。数ヶ月の間に1000人以上が感染し、人々は平均して1週間も狂ったように笑い続けたという。その原因は、今日に至るまで解明されていない。
5. ブラックバーンの失神騒動(1965年)
1965年10月、英国ランカシャー州ブラックバーンの女子校で、生徒たちが次々と原因不明の失神を起こす事件が発生。数日間で150人もの生徒が倒れ、当時の救急隊員は「我々が運び出すそばから、別の教室から新しい患者が運び込まれてきた」と語っている。ポリオの流行への恐怖や、ガス漏れ、食中毒などが疑われたが、最終的には「過呼吸」による集団ヒステリーと結論付けられた。
6. ホリンウェルの集団失神事件(1980年)

1965年の事件から15年後、英国ノッティンガムシャーのショー会場で、マーチングバンドの大会に参加していた300人もの子供たちが、突如として失神する事件が起きた。目撃者は「彼らはまるでボウリングのピンのように倒れていった」と証言。農薬散布が原因と疑われたが、公式報告書はまたしても「集団ヒステリー」が原因であると結論付けた。
7. 悪魔のピエロ騒動(2016年)

2016年、米国ウィスコンシン州でホラー映画の宣伝のために行われた「不気味なピエロ」のスタントが、世界的なパニックを引き起こした。森の中や学校の近くに潜む「邪悪なピエロ」の目撃情報がSNSで拡散され、英国からニュージーランドに至るまで、世界各地で模倣犯や虚偽の通報が相次ぐ事態となった。
人間の心が生み出す最も不可解な謎は、案外、私たち自身のすぐ隣に潜んでいるのかもしれない。
参考:Daily Star、ほか
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2024.10.02 20:00心霊歴史上最も奇妙な「集団ヒステリー」7選 ― “猫のように鳴く修道女”から“笑いが止まらない村”までのページです。集団ヒステリーなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで