軍が極秘開発していた“奇想天外”な兵器10選! ― ネタか、本気か?歴史の闇に葬られたトンデモ計画

「必要は発明の母」と言うが、その言葉が最も当てはまるのは、おそらく戦時下であろう。戦争は、どんなに馬鹿げたアイデアでさえ、真剣な提案へと変貌させる力を持つ。国家の存亡がかかれば、奇妙すぎる、非現実的すぎる、ばかばかしすぎるといった常識は、いとも簡単に吹き飛んでしまうのだ。
冷戦時代の機密解除文書や時折漏れ伝わる情報によって、軍の指導者たちが安全保障の名の下に、いかに常軌を逸した研究に没頭していたかが明らかになっている。その結果として生まれた兵器や実験計画の数々は、歴史とSFの境界線を曖昧にするほど、奇妙で恐ろしいものばかりだ。
ここでは、政府の公文書館よりも、古びたSF小説のページにふさわしい10の驚くべき軍事技術を紹介しよう。
1. プロジェクト・ブルーピーコック ― 鶏で温める核地雷

1950年代、英国はソ連の侵攻に備え、西ドイツの地に核地雷を埋設するという、とんでもない計画を立てていた。その名も「プロジェクト・ブルーピーコック」。しかし、この計画にはドイツの厳しい冬という欠点があった。極度の寒さで電子機器が凍結し、核爆弾が機能しなくなる恐れがあったのだ。
そこで科学者たちが提案した解決策は、なんと「生きた鶏」を爆弾のケーシング内に一緒に入れるというもの。鶏の体温で、爆弾の部品を正常な作動温度に保とうというのだ。まるでコントのようだが、彼らは大真面目だった。この計画は1958年に中止されたが、冷戦時代のパラノイアが、いかに天才と狂気の境界線を曖昧にしていたかを示す好例である。
2. 超能力スパイ計画 ― 米ソのサイキックソルジャー

超能力を持つ兵士が活躍する映画を、単なるフィクションだと笑い飛ばしてはいけない。冷戦時代、アメリカとソ連は共に、「サイキックスパイ」の創設に大真面目に大金を投じていた。
ソ連はテレパシーやテレキネシス、遠隔透視(リモートビューイング)の研究に資源を注ぎ込み、人間の精神が物体を動かしたり、遠くから敵を殺害したりできるかを模索した。一方、アメリカもCIA主導で「プロジェクト・スターゲイト」を開始。「遠隔透視者」の中には、椅子に座ったままソ連の秘密施設を詳細に描写できたと主張する者もいた。しかし、おそらく超人的な能力が実際に生まれることはなく、これらの計画は静かに終焉を迎えた。
3. プロジェクト・ピジョン ― 鳩が誘導するミサイル

AIや精密誘導兵器が登場するずっと以前、米軍は一時期、その希望を鳩に託していた。第二次世界大戦中、行動主義心理学者のB.F.スキナーが考案した「プロジェクト・ピジョン」は、鳩に爆弾を誘導させるというものだ。
ミサイルの先端に鳩を乗せ、スクリーンに映し出された敵艦の映像をクチバシでつつかせる。その動きに合わせてミサイルの軌道を修正するという仕組みだ。驚くべきことに、実験では鳩は驚異的な精度を見せたという。しかし、軍の上層部は国家の防衛を鳥の爪に委ねる決断ができず、この計画は実戦投入されることなくお蔵入りとなった。
4. SR-71 ブラックバード ― 空中で変形する偵察機

SF映画から飛び出してきたような航空機といえば、SR-71 ブラックバードが筆頭に挙げられるだろう。1960年代に開発されたこの機体は、音速の3倍以上の速度で地球大気の最果てを飛行できた。しかし、本当に驚くべきは、この機体が意図的に燃料漏れを起こすように設計されていた点だ。
低高度では、チタン製の機体外皮には隙間があり、燃料が滴り落ちる。しかし、マッハ3に達すると、機体が加熱・膨張し、その隙間がぴったりと塞がるのだ。つまり、ブラックバードは超音速飛行のストレスに耐えるため、文字通り空中で自らの形を変えていたのである。
5. ソ連の「死の手(Dead Hand)」― 終末の自動報復装置

1980年代、ソ連はディストピア映画さながらのシステムを密かに構築していた。「死の手(Dead Hand)」システム、公式には「ペリメトル」と呼ばれるこの装置は、核による終末の引き金そのものであった。
その仕組みはこうだ。もしアメリカによる奇襲核攻撃でソ連指導部が全滅しても、地中深くに埋められたセンサーが地震波や放射線量を検知し、クレムリンとの通信が途絶えた場合、このシステムが自動的に報復の核ミサイルを発射するというもの。まさに映画『博士の異常な愛情』の現実版である。この装置が今も稼働しているかは謎に包まれているが、人類の運命を自動化されたアポカリプスボタンに委ねる一歩手前まで、我々が近づいていたことを示している。
6. 海軍のプラズマシールド計画

映画の世界の産物だった「フォースフィールド(エネルギーバリア)」。しかし2014年、米海軍は本物としか思えない技術の特許を静かに出願していた。それは、プラズマを用いて車両を攻撃から守るシールドだ。
このシステムは、目標物と飛来するミサイルの間に、超高温のガス雲であるプラズマの壁を発生させる。このプラズマ壁は、敵の砲弾を逸らしたり、破壊したりするだけでなく、強烈な閃光と轟音で攻撃者を幻惑することもできるという。
7. ナチス・ドイツの「サン・ガン(太陽砲)」

ロケットやジェット戦闘機だけでは飽き足らず、ナチスの技術者たちは、戦争史上最も奇想天外な兵器の一つ、「サン・ガン」を構想していた。連合軍の機密解除文書によれば、この計画は、太陽光を地球上の一点に集中させる巨大な軌道上の鏡を建造するというもの。理論上、この宇宙の虫眼鏡は、都市全体を焼き尽くし、海の一部を沸騰させることさえ可能だった。幸いにも、当時の技術では実現不可能だったが、ナチスが軌道上のデスレイさえも真剣に検討していたという事実は、彼らの世界征服への渇望を物語っている。
8. ペンタゴンの透明化研究

ハリー・ポッターの「透明マント」を、米国防総省は本気で開発しようとしていた。1990年代から2000年代にかけて、DARPA(国防高等研究計画局)は、兵士や戦車、航空機を見えにくくするためのアダプティブ迷彩の研究に多額の投資を行った。
最も有望視されたのは、光を特殊な方法で屈折させる人工物質「メタマテリアル」の研究だ。実験室レベルでは、小さな物体を視界から消すことに成功している。我々が映画で見るような完璧な透明化にはまだ程遠いが、軍がその目標に想像以上に近づいていたことが、機密解除文書から明らかになっている。
9. ソ連の「空飛ぶ戦車」

ソ連の奇抜なアイデアの中でも、特に愉快で馬鹿げているのが、アントノフA-40、通称「空飛ぶ戦車」だ。1940年代初頭、技術者たちは考えた。
「わざわざ前線近くに飛行場を建設するより、戦車を空から直接投下すればいいじゃないか?」
A-40は、軽量戦車に取り外し可能な木製の翼と尾翼を取り付けたものだ。爆撃機で曳航し、戦場の上空で切り離して滑空させ、着陸後すぐに戦闘に参加させるという計画だった。1942年のテストでは、実際に滑空することには成功したが、曳航する爆撃機がその重さに耐えきれず、墜落寸前だったという。このアイデアがいかに非現実的であったかを証明し、計画は静かにお蔵入りとなった。
10. 米海軍のレーザー兵器

何十年もの間、SFの世界の産物だったレーザー。今日、米海軍は実用的なレーザー砲を艦船に搭載し、公然とテストを行っている。空飛ぶドローンを焼き落とし、小型ボートを無力化し、光の速さでダメージを与える。その発射コストは、一杯のコーヒーとほぼ同じだという。
天候や出力の問題など、まだ制約は多いものの、これはエネルギー兵器が従来の弾薬を補完する、現実的な第一歩である。レイガンの時代は、ついに公海上で幕を開けたのだ。
歴史が証明するように、人間の想像力は、時にSF小説のページを飛び越え、現実の世界さえも作り変えてしまう。SFと現実の境界線は、我々が思うよりずっと薄いのかもしれない。
参考:Listverse、ほか
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2024.10.02 20:00心霊軍が極秘開発していた“奇想天外”な兵器10選! ― ネタか、本気か?歴史の闇に葬られたトンデモ計画のページです。兵器、極秘などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで