【未解決】冷戦下の軍事企業で不審死が連発「マルコーニ陰謀論」の闇! 闇に葬られた“タブー案件”徹底解説

 かつての軍事関連ハイテク企業で社員の不審死が連続して発生していた。いったい何が起こっていたというのか。いずれも当時から特に詳しい捜査は行われておらず、謎を残したまま闇に葬り去られようとしている――。

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■相次ぐ従業員の不審死

 明らかに偶然の一致では済ませられない出来事なのに、その疑問には誰も触れず、手つかずのまま放置され、忘れ去られてしまう事案は少なくない。その背後には決して触れてはならない何かが横たわっているのだろうか。

 米ソ冷戦末期の1980年代、アメリカの軍事戦略を強力にサポートしていたのはイギリスの軍事開発企業「マルコーニ・システムズ(Marconi Systems Ltd)」であった。同社は当時の最先端の兵器、航空機、戦略的防衛システムの開発に取り組み、レーガン政権の「スター・ウォーズ計画」と呼ばれる戦略防衛構想の鍵を握っていた。

 軍事機密を扱う企業であるだけに、マルコーニ・システムズの業務の実態は分厚いヴェールに包まれており、社内の様子をうかがい知る術などは皆無であった。

 しかし、それでも従業員の不審死はさすがに隠し通すことはできない。同社では6年間の活動期間の間になんと25人の従業員が自殺しており、特に1986年から1987年までの1年間には6人の従業員が続けざまに不審な死を遂げていたのだ。

 まずは1986年8月5日、魚雷誘導システムに取り組んでいたエンジニアであったヴィマル・ダジバイが、吊り橋の下で死亡しているのが発見された。

 彼はロンドン近郊のワトフォードで働いていたが、かなり離れたブリストル近くのクリフトン橋の下で発見されたのだ。警察は飛び降り自殺と断定、処理して詳しい捜査は行っていない。しかし、どうしてダジバイがこのクリフトン橋までやって来て死んだのか、そしてそもそも自殺の動機が何なのか、家族や友人にもまったく見当がつかなかった。

 ひとつ気にかかる事実として、ダジバイは金融業界の会社への転職が決まっていて、近々同社を退職する予定であったということだ。そして遺体の臀部には針で刺されたような傷があったという。それでも警察は自殺であるとし、すぐに片づけてしまったのだ。

 この不審死から数カ月後の10月28日、ロンドン近郊のマルコーニのオフィスでシステムアナリストとして働いていたアシュハド・シャリフがブリストル近郊の公園で死んでいるのが発見された。首にはロープが巻かれていて死因が縊死であることは間違いなく、近くに彼の車がクラッシュして止まっていた。

 警察の調査の結果、これは手の込んだ自殺であり、ロープを首に結び一方の端を木に巻きつけ、車を高速で発進させたと結論づけられた。この不審死もまたブリストルで起こったことについて、警察は単なる偶然であると説明している。

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■“マルコーニ陰謀論”の闇が深まる

 アシュハド・シャリフの“自殺”に続いて、マルコーニの生化学部門で働いていたシャニ・ウォーレンという26歳の女性秘書の溺死体が湖畔で発見された。

 遺体は後ろ手で縛られ、両脚も閉じた状態で巻かれ、口には猿轡がはめられていた。驚いたことに警察はここでも彼女の死は自殺であるとして早々に処理してしまったのである。

 その後、年が明けて1987年1月にイングランド東部のエセックス郡の自宅で、同社のコンピュータ設計および通信の専門家であるリチャード・ピューが足を縛り、頭にビニール袋をかぶり、首にロープを巻いて死んでいるのが発見された。警察はこの彼の死も自殺であるとしている。

 さらに不審死は続き、マルコーニの55歳のソフトウェアエンジニアであるアリスター・ベックマンは小屋で電線に触れて感電死した状態で発見されたのだが、同じくこれもまた警察に自殺と片づけられたのだ。

 1987年3月、マルコーニで軍事通信システムの設計に取り組んでいた38歳のコンピュータ科学者、デイビッド・サンズは、ガソリン缶を積んだ車に乗って営業時間外のレストランに突っ込み、大火災の後に焼死体で発見された。これもまた警察によれば自殺ということである。

 死亡事件ではないケースとしては、1987年1月にマルコーニの水中電子工学研究者であるアバター・シン・ギダが不可解な失踪を遂げていたのだが、その数カ月後にフランスで保護された一件もある。どうして失踪したのか、どうやってフランスに来たのか、当人はこの間の記憶がスッポリ抜け落ちているという。

 こうした事件のすべてについて、マルコーニは沈黙を守っており、せいぜいは「偶然であり騒ぎ過ぎである」とメディアを批判するに留まっている。

 当時の国防調達大臣であったトレフガルン卿は「全員が防衛分野で働いているコンピューター科学者だったのは奇妙だと思うが、関係性はない」との見解を表明している。

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 陰謀を疑う者からは、暗殺や隠蔽工作の可能性だけでなく、UFOやエイリアン技術のリバースエンジニアリングに関与しているという説もあり、“マルコーニ陰謀論”の闇が深まった。しかしそこから一歩進んで疑惑を追及しようとする者はいなかった。

 マルコーニ・システムズは最終的に他の企業に吸収されて解散し、こうした数々の謎を残したまま世間から姿を消した。これらの不審死について究明しようとする者は結局のところ誰も現れず、こうして今、完全に忘れ去られようとしているのである。

参考:「Mysterious Universe」、ほか

 

※当記事は2020年の記事を再編集して掲載しています。

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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