「9月23日に終末が来る」予言が大ハズレ ― 財産を捨てた信者たちの悲痛な叫びと牧師たちの“苦しい言い訳”

「主は向かっています」「天使の軍勢と共に来られます」
2025年9月23日の夜、南アフリカの牧師、ジョシュア・ムラケラ氏は、ライブ配信で信者たちに辛抱強く語りかけていた。彼が「イエス・キリストが再臨し、世界の終末が始まる」と予言した、運命の日。しかし、時計の針が24日を指しても、天国への扉は開かれなかった。
「神が、分や秒の単位で、どのように事を運ばれるのか…」。困惑を隠せない牧師は、そう呟くしかなかった。
予言を信じ、財産を捨てた人々
キリスト教の一部には、「携挙(けいきょ)」という終末思想がある。これは、イエス・キリストの再臨の際に、信者だけが天へと引き上げられ、地上に残された人々が直面する大いなる苦難を免れるという、一種の“救済”の信仰だ。
ムラケラ牧師は、「神の啓示を受けた」として、今年の9月23日か24日に携挙が起こると断言。この予言はSNSで爆発的に拡散し、世界中の多くの信者が、その日を固唾をのんで待ち望んでいた。
中には、終末が来ることを固く信じ、自らの財産をすべて手放してしまった人々もいた。
オーストラリアのある男性は、「9月以降、この車は必要なくなる。天の父のいる故郷に帰るのだから」というメッセージと共に、愛車がレッカー車で運ばれていく動画を投稿。
しかし、運命の日は、何事もなく過ぎ去った。

予言者たちの“謝罪会見”と、信者たちの悲哀
予言が外れた後、SNS上には、呆然とする信者たちの声と、予言を広めたインフルエンサーたちの謝罪動画が溢れかえった。
3万人以上のフォロワーを持つオーストラリアの男性は、「携挙について、二度と公の場で語ることはない」と、新たな動画で世界に謝罪。ナイジェリアのある預言者も、「イエスが語ったと主張する一人の男を、ただ信じてしまった」と、うなだれた。
一方、信者たちからは、「仕事に戻らなければならないなんて…」と、終末が来なかったことに涙ながらに嘆く、悲痛な投稿も見られた。

聖書に記された“警告”
そもそも、聖書には終末の日付を特定しようとする行為そのものに対する明確な警告が記されている。「その日、その時がいつであるかは、だれも知らない。(…)ただ、父だけが知っておられる」(マタイによる福音書24章36節)。
多くのキリスト教徒や懐疑派は、この一節を引用し、「日付を設定すること自体が、イエスの言葉に直接矛盾する行為だ」と、今回の騒動を厳しく批判している。
ムラケラ牧師は、ライブ配信の最後に「明日また会いましょう」と言い残し、24日以降、SNS上から姿を消している。
今回の騒動は、終末への恐怖と救済への渇望が、いかに人々を熱狂させ、そして時に冷静な判断を失わせてしまうかを、改めて浮き彫りにした。
聖書が本当に伝えたかったのは、特定の日を恐れることではなく、いつその日が来てもいいように日々を誠実に生きることだったのかもしれない。
参考:Daily Mail Online、ほか
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2024.10.02 20:00心霊「9月23日に終末が来る」予言が大ハズレ ― 財産を捨てた信者たちの悲痛な叫びと牧師たちの“苦しい言い訳”のページです。終末、携挙などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで