危なかった!小惑星が地球にニアミス ― その距離わずか428km、NASAが気づいたのは“通過後”

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 もし、あなたの頭上わずか400kmの宇宙空間を、直径3メートルの岩塊が猛スピードで通り過ぎていたとしたら…?そして、その危険なニアミスを、世界の宇宙機関が誰も事前に察知できていなかったとしたら?これはSF映画の話ではない。つい先日、実際に起きた、背筋も凍る天体ショーの顛末だ。

国際宇宙ステーションより近くを通過した“見えない脅威”

 10月1日未明、南氷洋の上空。直径約3メートルの小惑星「2025 TF」が、地球の表面からわずか428kmという、まさに目と鼻の先をかすめていった。これは、国際宇宙ステーション(ISS)が周回している軌道よりもさらに地球に近い、驚くべき距離だ。

 しかし、この肝を冷やすようなニアミスを、NASAや欧州宇宙機関(ESA)をはじめとする世界の天文学者たちは、事前に全く把握していなかった。彼らがこの小惑星の存在に気づいたのは、地球を通り過ぎてから数時間後、アリゾナ州のカタリナ・スカイサーベイが偶然その姿を捉えた後のことだった。

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リバプール望遠鏡が2025年10月2日に撮影した小惑星2025 TF By Филипп РомановOwn work, CC BY-SA 4.0, Link

なぜ事前に気づけなかったのか?―“惑星防衛”の死角

 なぜ、地球を守るはずの監視網は、この危険な訪問者を見逃してしまったのか。その最大の理由は、小惑星の「小ささ」にある。

 ESAによれば、直径3メートル程度の岩塊は、たとえ地球に突入したとしても、大気圏で燃え尽きるか、上空で爆発してしまい、地上に深刻な被害をもたらす可能性は低いという。そのため、「潜在的に危険な小惑星」とは見なされず、監視の優先順位も低い。

 しかし、もしこの小さな岩塊が、ISSや人工衛星に直撃していたらどうなっていただろうか。今回は幸いにも衝突は起きなかったが、宇宙空間における活動が活発化する現代において、これは決して無視できないリスクだ。

 この一件は、人類の誇る「惑星防衛システム」がいかに完璧ではないかを、改めて浮き彫りにした。

忘れられないチェリャビンスクの悪夢

 小さな小惑星といえど、決して侮ることはできない。その恐ろしさを、我々は2013年にロシアのチェリャビンスクで目の当たりにしている。

 当時、直径20メートルの小惑星が、誰にも気づかれることなく地球に接近し、上空約30kmで爆発。その衝撃波は、広島に投下された原子爆弾の30倍以上ものエネルギーを放出し、7200棟もの建物を破壊、約1500人が負傷する大惨事となった。この小惑星が事前に発見されなかったのは、太陽の方向から接近してきたため、日中の空に紛れて観測が不可能だったからだ。

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チェリャビンスク隕石の元となった小惑星の想像図 DaneelOlivaw – このファイルの派生元: Largestdinosaursbysuborder scale.png投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

 チェリャビンスクの悲劇以降、地球防衛システムは大幅に改善された。しかし、今回の「2025 TF」のニアミスは、まだ我々の監視網には大きな“死角”があることを示している。都市を壊滅させる「シティキラー」級の巨大な小惑星は、ほぼすべて事前に発見できると科学者たちは考えている。だが、チェリャビンスク級の小さくとも危険な“ステルス小惑星”が、ある日突然、我々の頭上に現れる可能性は決してゼロではないのだ。

参考:Daily Mail Online、ほか

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