「この世界はシミュレーションだ」と証明する男 ― DMTとレーザーで見えた“現実のコード”は、なぜか“カタカナ”だった?

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 もし、この世界のすべてが、映画『マトリックス』のように精巧に作られたシミュレーションだとしたら?そして、その根源をなす「プログラムコード」を、誰でも覗き見ることができるとしたら…?ダニー・ゴラーは、それを可能にする方法を発見したと主張する。必要なのは、強力な幻覚剤「DMT」を吸引するためのベイプと、一本のレーザーポインターだけだという。彼の奇妙で危険なメソッドは、今、熱狂的な信奉者と懐疑的な科学者たちを巻き込み、大きな渦となりつつある。

7000回のDMTトリップと「カタカナのコード」の発見

 ダニー・ゴラーとは何者か。彼は自らを、サイケデリック(幻覚剤)を用いて精神世界を探求する「サイケデリック探求者」と称する。元イスラエル軍兵士、俳優、パルクール愛好家といった多彩な経歴を持つ彼は、これまでに7000回以上、即効性の高い幻覚剤DMTを使用してきたという。これは、20年近く毎日DMTを体験してきた計算になる。

 常軌を逸した探求の果てに、彼は地球外生命体と友好的な関係を築いたと主張する。そして2020年8月、コロラド州のタイ料理レストランで、彼はついに天啓を得る。「DMTを吸引し、壁に当てた赤いレーザーポインターの十字型の反射光を見つめよ」

 その啓示に従った彼が見たもの、それこそが「現実のコード」だった。彼によれば、そのコードは『マトリックス』の滝のように流れる緑の文字さながらで、驚くべきことに、日本の「カタカナ」に酷似していたという。「これこそが、我々がシミュレーションの中に生きている証拠だ」と、彼はYouTubeで高らかに宣言した。

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画像は「YouTube」より

「コードが見えた」信奉者たちと広がる影響

 単なる幻覚体験者の妄想――そう切り捨てるのは簡単だ。しかし、話はここで終わらない。ゴラーは「プロジェクト・ヴェイルブレイク」を立ち上げ、DMTトリップとレーザー実験をセットにしたドキュメンタリー映画を制作。その予告編はTikTokで470万回以上再生され、彼の手法を試すための「レーザーバンドル」(153ドル)は、これまでに300人以上が購入したという。

 そして、彼らは口々に証言する。「コードが見えた」「間違いなく何かを伝えている」と。この現象は、DMTの最も著名な擁護者である人気ポッドキャスター、ジョー・ローガンの番組でも取り上げられ、DMT研究の世界的権威であるリック・ストラスマン博士も「オンラインでの証言によれば、マトリックスが見える可能性がある」と、その存在を無視できないものとして語った。

 

科学者たちの冷ややかな視線―「それはただの錯覚だ」

 もちろん、科学界からは冷ややかな声が上がる。多くの専門家は、この現象を「錯覚」や「思い込み」だと指摘する。

 神経生物学者のアンドリュー・ガリモア氏は、レーザー光が網膜上で作り出す斑点模様(スペックル効果)が、DMTによって変容した脳に「カタカナのような」イメージを誤って認識させているのではないかと分析する。また、神経科学者のゼウス・ティパド氏は「映画を現実に当てはめる時点でナンセンスだ」と一蹴。自身もDMTを吸引して4回試したが、「何も見えなかった。見たかったのに」と語る。

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精神崩壊の危険性―“世界の真実”がもたらす虚無という代償

 さらに深刻なのは、この実験がもたらす精神的なリスクだ。ゴラーのメソッドを試したあるポッドキャスターは、その後「2ヶ月間、生きる意味を見失うほどの虚無感に襲われた」と告白している。

「世界の真実」を知ってしまった(と思い込んでしまった)がゆえに、「じゃあ、生きている意味って何なんだ?」という問いに苛まれるのだ。過去には、レーザーとDMTで「悪魔のプログラマーが見える」という幻覚を見て精神崩壊し、警察に拘束された人物もいるという。海外の巨大掲示板Redditの「シミュレーション仮説」スレッドは、精神的な苦痛を訴える人が続出したため、閉鎖に追い込まれた歴史もある。

 ゴラー自身も、このメソッドは「経験豊富なDMTユーザー以外は試すべきではない」と警告を発している。

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現代の預言者か、サイケデリックの犠牲者か

 ゴラーの主張は揺るがない。「我々が見ているコードは実在する」「コードを通じて、誰かが我々と交信している」と。彼は、この発見が人類の世界に対する理解を飛躍させると固く信じている。

 ある者は彼を、19世紀の心霊主義者がウィジャボード(降霊術の道具)で霊界と交信しようとしたように、DMTとレーザーで「ヴェールの向こう側」を覗こうとする「現代の預言者」と評する。またある者は、彼を単なるサイケデリックの犠牲者と見る。

 我々は本当に、カタカナに似たコードで書かれたシミュレーションの世界に生きているのだろうか。それとも、すべては彼の脳が見せる壮大な幻影なのか。真実は誰にもわからない。しかし、ダニー・ゴラーはこれからも、真実を求めて赤い光を見つめ続けるだろう。

参考:VICE、ほか

TOCANA編集部

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