謎の“野菜人間”に“採血”された男 ― 1968年、UFO史上に輝く(?)最も奇妙な遭遇事件

UFO目撃の歴史の中でも、ひときわ異彩を放つ、そして恐ろしい事件がある。1968年7月、アメリカ・ウェストバージニア州の片田舎で、一人の男が「植物のような姿をした宇宙人」に襲われ、血を抜かれたと証言したのだ。後に「野菜人間(Vegetable Man)」と呼ばれることになる、このあまりに奇怪な存在との遭遇は、UFO研究史上に残る、最も信じがたい物語の一つである。
針のついた3本指で血を吸う“野菜人間”
その男、ジェニングス・H・フレデリックは、狩りの帰り道、森の中で奇妙な声を聞いた。未知の言語で、少し早口に話すその声は、まるで催眠術のように彼の意識を朦朧とさせたという。
次の瞬間、右腕に激痛が走る。見下ろすと、そこには、緑色で細くしなやかな3本指の“手”があった。指の先には針か吸盤のようなものがついており、それが彼の皮膚に突き刺さり、血を吸い上げている感覚があった。
振り向いた彼が見たのは、人型でありながら、どこか植物を思わせる、異様な生物の姿だった。黄色く輝く目、尖った耳、そして滑らかな肌。この“野菜人間”は、まるで催眠的な“メロディー”を奏でているかのようだった。

フレデリックが恐怖のあまり叫び声をあげると、生物の目の色は赤に変わり、オレンジ色の渦巻く輪に囲まれた。そして、すっと彼から離れると、驚くべき跳躍力で丘を駆け上がり、森の中へ消えていったという。後に残されたのは、遠ざかる口笛のような音と、うなり声だけだった。
UFOを目撃した母と、現れた“メン・イン・ブラック”
この奇怪な物語には、さらに不可解な伏線と後日談がある。実は、この事件の3年前、フレデリックの母親エイヴァが、自宅の敷地内でUFOの着陸を目撃したと主張していたのだ。彼女によれば、銀色の円盤から小さな生物が現れ、「土や植物を採取していた」という。その生物は、緑色の爬虫類のような姿だったとされる。
フレデリックがその場所を調べると、4本指の爪を持つ、長さ15cmほどの足跡が残っていた。彼はその写真を空軍に送ったが、返ってきた答えは、あまりに有名な「気象観測用の気球だった」という、お決まりの文句だった。

そして、“野菜人間”との遭遇後、フレデリックの人生はさらに奇妙な方向へと転がり始める。彼はNASAの機密プロジェクトに関わるが、セキュリティ違反を理由に解雇される。さらに数年後のある夜、彼の家にUFOの目撃者を訪れるという伝説の“メン・イン・ブラック(黒服の男たち)”が現れ、彼に尋問し、何かを注射したという。奇妙なことに、翌朝、家族はその夜の出来事を誰も覚えていなかった。記憶していたのは、フレデリックただ一人だった。
幻覚か、真実か―なぜ“野菜人間”の物語は我々を惹きつけるのか
この物語には、客観的な証拠は何一つない。テレパシーによる接触、催眠状態、そしてメン・イン・ブラックの来訪…。そのすべてが、UFO目撃談の典型的なパターンであり、作り話だと疑われても仕方がない。母親のUFO目撃談も、彼が幻覚を見やすい素地を持っていた可能性を示唆している。
しかし、なぜこの荒唐無稽な“野菜人間”の物語は、50年以上が経過した今もなお、我々を惹きつけてやまないのだろうか。
それは、この物語が、私たちの最も根源的な恐怖―未知なるものによる「侵入」、自らの身体を支配される「寄生」、そしてコントロールを失うことへの恐怖―に触れるからだ。フレデリックが見たものは、本当に宇宙から来た“吸血植物”だったのか、それとも彼の無意識が生み出した幻覚だったのか。
その答えは、今となっては誰にもわからない。しかし、この“野菜人間”の物語が、私たちの心の奥底に眠る、未知への恐怖と好奇心をかき立てることだけは間違いない。森の闇には、まだ我々の知らない何かが潜んでいるのかもしれない。
参考:Mysterium Incognita、ほか
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2024.10.02 20:00心霊謎の“野菜人間”に“採血”された男 ― 1968年、UFO史上に輝く(?)最も奇妙な遭遇事件のページです。宇宙人、吸血、遭遇、UMAなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで