20世紀最大の“輪廻転生”ミステリー「シャンティ・デヴィ」― 現実と一致した4歳の少女が語る“前世の記憶”

20世紀最大の“輪廻転生”ミステリー「シャンティ・デヴィ」― 現実と一致した4歳の少女が語る“前世の記憶”の画像1
イメージ画像 Created with AI image generation

 もし、あなたの幼い子供が、突如として「私は本当は別の人間だった」と語り始めたら、あなたはどうするだろうか。1930年代のインド・デリー。シャンティ・デヴィという4歳の少女が語り始めた、あまりに鮮明で、そして詳細な“前世の記憶”。それは、単なる子供の空想では片付けられない、インド全土を巻き込み、ついにはマハトマ・ガンジーをも動かす、20世紀最大の輪廻転生ミステリーへと発展していく。

「私の本当の名前は、ルグディ」―4歳児が語る“もう一つの人生”

 1926年、デリーで生まれたシャンティ・デヴィ。ごく普通の家庭で何不自由なく暮らしていた彼女は、4歳になったある日、奇妙なことを口にし始める。「マトゥラーの町に住んでいた」「ケダルナートという夫がいた」「息子を産んですぐに死んだ」と。

 彼女は、自分の本当の名前は「ルグディ・デヴィ」だと主張し、行ったこともないはずのマトゥラーの町の寺院や市場、そしてかつて住んでいたという白い家の様子を、驚くほど正確に描写した。当初は子供の戯言だと笑っていた両親も、そのあまりの具体性と、大人のような真剣な口ぶりに、次第に不安を覚えていく。

20世紀最大の“輪廻転生”ミステリー「シャンティ・デヴィ」― 現実と一致した4歳の少女が語る“前世の記憶”の画像2
シャンティ・デヴィ By John H. Manas, Metempsychosis, Reincarnation: Pilgrimage of the Soul Through Matter (Public Domain). Source

“前世の夫”との対面―記憶が現実と一致した日

 やがて、シャンティの噂は近所に広まり、学者や僧侶たちが彼女の元を訪れるようになる。そして、一人の教師が、彼女が語る「ケダルナート」という人物が、マトゥラーに実在するかを調査。すると驚くべきことに、その人物は本当に存在し、彼の妻ルグディが、15年前に出産で亡くなっていたことが判明したのだ。

 話を聞いたケダルナートは、半信半疑ながらも、デリーに住むシャンティに会いに来る。そして、歴史に残る対面の瞬間が訪れた。シャンティは、初対面のはずのその男を見るなり、はにかむように目を伏せ、こう囁いた。

「来てくれたのね、ケダルナート」

 彼女は、ケダルナートの性格や癖、そして二人が暮らした家の細部に至るまで、次々と言い当てていく。さらには、彼が死の床で交わした約束を破ったことまで、涙ながらに責めたという。

20世紀最大の“輪廻転生”ミステリー「シャンティ・デヴィ」― 現実と一致した4歳の少女が語る“前世の記憶”の画像3
Image by Eddy Pellegrino from Pixabay

ガンジーも注目した国家レベルの調査委員会

 この驚くべき出来事を受け、ついにインドの著名な学者や政治家、そしてジャーナリストからなる、国家レベルの独立調査委員会が結成された。当時、インド独立の父として絶大な影響力を持っていたマハトマ・ガンジーも、この事件に深い関心を寄せ、その動向を注意深く見守っていたという。

 委員会は、シャンティをマトゥラーの町へ連れて行くという、大規模な検証を行った。マトゥラーに到着するやいなや、シャンティは、まるで我が家に帰ってきたかのように、迷うことなく路地を進み、かつての自宅や、よく通った寺院を次々と言い当てていった。近所の人々を名前で呼び、自分が死んだというベッドを指し示し、家の間取りが変わっていることまで指摘した。

 調査委員会は最終報告書で「この少女が、通常の手段では知り得ない知識を持っていたことは、疑いようがない」と結論づけた。ガンジー自身も、慎重な姿勢を崩さなかったものの、「この一件は、死後も意識が存続するかどうかという、深遠な精神的問いを投げかけている」と認めた。

20世紀最大の“輪廻転生”ミステリー「シャンティ・デヴィ」― 現実と一致した4歳の少女が語る“前世の記憶”の画像4
パブリック・ドメイン, 出展

科学か、信仰か―輪廻転生の謎

 ヒンドゥー教や仏教徒にとって、シャンティ・デヴィの物語は、輪廻転生(サンサーラ)の実在を証明する、何よりの証拠となった。一方で、西洋の科学者たちは、「潜在記憶(クリプトムネジア)」(無意識のうちに見聞きした情報が、あたかも自らの記憶であるかのように現れる現象)の可能性を指摘する。

 しかし、この事件を詳細に調査したバージニア大学のイアン・スティーヴンソン博士は、「観察され、検証され、そして公に記録された、極めて信憑性の高い、自発的な輪廻転生の事例である」と結論づけている。

 成長したシャンティ・デヴィは、自らの特異な体験をひけらかすことなく、結婚し、ごく普通の女性として、穏やかな生涯を送ったという。彼女の物語は、単なるオカルトや超常現象ではない。それは、魂とは何か、記憶とは何か、そして死とは何かという、人類の根源的な問いを、私たちに突きつけているのかもしれない。

 科学はそれを「潜在記憶」と名付け、信仰はそれを「輪廻転生」と呼んだ。しかし、シャンティ・デヴィという一人の少女が示したのは、魂の記憶が、時に我々の理解や定義を遥かに超えていくという、厳然たる事実だったのかもしれない。

参考:Mysterium Incognita、ほか

関連キーワード:, ,
TOCANA編集部

TOCANA/トカナ|UFO、UMA、心霊、予言など好奇心を刺激するオカルトニュースメディア
Twitter: @DailyTocana
Instagram: tocanagram
Facebook: tocana.web
YouTube: TOCANAチャンネル

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.02 20:00心霊

20世紀最大の“輪廻転生”ミステリー「シャンティ・デヴィ」― 現実と一致した4歳の少女が語る“前世の記憶”のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

人気記事ランキング更新