13歳少年、磁石200個を飲み込み腸を切除 ― SNSで流行する“マグネットピアス”の恐るべき危険性

ニュージーランドの病院に、激しい腹痛を訴える13歳の少年が運び込まれた。問診に対し、彼は「1週間ほど前に、磁石を100個くらい飲み込んだかもしれない」と告白。しかし、X線撮影で明らかになったのは、彼の想像を遥かに超える、おびただしい数の磁石だった。その数、実に200個近く。少年の腹の中で、強力な磁石は互いに引き寄せ合い、彼の内臓を静かに破壊していた。
腸壁を挟んで“合体”―強力磁石が引き起こす「圧迫壊死」
少年の体内にあったのは、「ネオジム磁石」と呼ばれる、通常の鉄の磁石の最大50倍もの磁力を持つ、極めて強力な磁石だった。飲み込まれた200個近くの小さな磁石は、腸の中を移動するうちに、腸壁を隔てて互いに引き寄せ合い、“合体”してしまった。
X線写真には、数珠つなぎになった磁石の鎖が、腸の異なる4箇所で確認された。腸壁は、内外から強力な磁石に挟み撃ちにされ、血流が途絶え、組織が壊死する「圧迫壊死」という深刻な状態に陥っていた。
医師団は、緊急手術で磁石をすべて摘出したが、壊死した腸の一部を切除せざるを得なかった。幸いにも手術は成功し、少年は8日後に退院できたという。

SNSの流行が生んだ悲劇?―“マグネットピアス”の闇
なぜ少年はこれほど大量の磁石を飲み込んでしまったのか。その理由は明らかにされていない。しかし、近年、若者の間で、強力な磁石を使って舌や鼻、唇にピアスのように見せる「マグネットピアス」が、SNS上で流行しているという背景がある。このマグネットピアスを誤って飲み込んでしまう事故が、世界中で問題となっているのだ。
ニュージーランドでは、こうした事故の多発を受け、2013年にネオジム磁石の販売を法律で禁止した。しかし、少年が飲み込んだ磁石は、海外の通販サイト「Temu」を通じて購入されたものだったという。国境を越えるオンラインショッピングの普及が、国内の法規制を骨抜きにしてしまっている現実が浮き彫りになった。
「子供にオンラインで物を買わせるな」―専門家の警告
オークランド大学のアレックス・シムズ研究員は、「親は、子供がオンラインマーケットプレイスで監督なしに商品を購入することを、決して許可すべきではない」と、強く警告する。
色鮮やかで、小さなボール状の強力磁石は、子供たちにとって魅力的なおもちゃに見える。しかし、一度体内に飲み込まれれば、それは命を脅かす凶器へと変貌するのだ。もし、子供が磁石を飲み込んだ疑いがある場合は、症状がなくても、直ちに病院へ連れて行く必要がある。75%以上のケースで、内視鏡や外科手術が必要になると、専門家は指摘している。
SNSの安易な流行と、オンラインで簡単に手に入る危険な製品。その二つが結びついた時、子供たちの身に、取り返しのつかない悲劇が起こりうる。今回の事件は、デジタル時代を生きるすべての親たちに重い警鐘を鳴らしているのかもしれない。
参考:ScienceAlert、ほか
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2024.10.02 20:00心霊13歳少年、磁石200個を飲み込み腸を切除 ― SNSで流行する“マグネットピアス”の恐るべき危険性のページです。レントゲン、磁石、マグネットなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで