テスラ、狂気の「マッドマックスモード」を実装 ― 自動運転で“爆走”する危険な機能に米当局が緊急調査へ

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画像はUnsplashJp Valeryより

「遅刻しそうなら、このモードを選べ」。電気自動車の巨人、テスラが、その自動運転機能「FSD(フル・セルフ・ドライビング)」に、あまりにも過激で、そして危険な新機能を追加し、米国の交通安全当局を震撼させている。その名も「マッドマックスモード」。映画さながらに、AIが交通法規を半ば無視し、車線変更を繰り返しながら、目的地まで“爆走”するというのだ。

“ナマケモノ”と“狂気の戦士”―両極端な新機能

 テスラが最新のファームウェアアップデートで追加したのは、対照的な2つの走行モードだ。
一つは、「スロース(ナマケモノ)モード」。こちらは、加速を緩やかにし、車線を逸脱しないよう極めて安全運転に徹する。

 そして、問題となっているのが、もう一つの「マッドマックスモード」だ。テスラ自身が「信じられないペースで交通を駆け抜ける。あなたの車を、まるでスポーツカーのように運転する。もしあなたが遅刻しそうなら、このモードがうってつけだ」と説明する、この狂気の機能。その名の通り、映画『マッドマックス』の荒々しいカーチェイスのように、AIがアグレッシブに速度を上げ、車の間を縫うように走行するという。

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過去にも炎上、そして今回も…当局が「待った」

 実は、この「マッドマックスモード」は、2018年にも一度、ベータテスト版として導入されたことがある。しかし、その危険性に対する世論の猛反発を受け、正式な実装は見送られていた。

 しかし、テスラは今回、その禁断の機能を、再び公道に解き放とうとしている。すでに、FSD作動中のテスラ車が、一時停止標識を無視したり、対向車線にはみ出したりする事案が数十件報告されており、米高速道路交通安全局(NHTSA)は、テスラに対する新たな予備調査を開始したばかりだった。そして、この「マッドマックスモード」の登場を受け、NHTSAはテスラに対し、さらなる情報提供を求めるという、極めて深刻な事態へと発展している。

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画像はUnsplashBrecht Denilより

「安全より売上を優先」―弁護士も痛烈批判

 テスラを相手取った死亡事故訴訟で、数億ドルの賠償金を勝ち取った弁護士のブレット・シュライバー氏は、この新機能を痛烈に批判する。「テスラは意図的に制限速度を超え、攻撃的に運転するよう車をプログラミングしており、これは公道上のすべての人々を危険に晒す行為です。『マッドマックスモード』の展開は、安全よりも見た目と売上を優先するテスラの姿勢を象-徴する最新の事例であり、規制当局には、この技術が解き放たれるのを防ぐため、直ちに行動を起こすよう強く求めます」

 NHTSAは、「運転の全責任は、ハンドルを握る人間にある」という原則を改めて強調している。しかし、AIが自動で“暴走”を始める機能をメーカーが公式に提供するとなれば、その責任の所在は、ますます曖昧になっていくだろう。

 テクノロジーの進化は、時に我々の倫理観や法制度のはるか先を行く。「マッドマックスモード」は、自動運転がもたらす便利な未来の象徴か、それとも制御不能な狂気の時代の幕開けなのか。今、その是非が厳しく問われている。

参考:Ars Technica、ほか

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